悪餓鬼日記帖:なにぃ、文句あっか!

07.11


2007.11.30:

遂に守屋前防衛事務次官が逮捕されたが、その賄賂の額は他の贈収賄事件と桁が違う。少なくとも数千万円は飛んでいるし、しかも夫婦で徹底して商社にたかっている。この夫婦共犯の賄賂要求というのは初耳だ。
防衛省(旧防衛庁)というのは機密を盾にした独特の閉鎖社会だから、さもありなんという感じもする。アメリカでもそうだが、軍需産業と結託して色々なことをやっていると見て差し支えない。実際問題、長官(現大臣)の指示による随意契約の数は圧倒的に多いし、逆に軍事産業は天下りを積極的に受け入れることで、持ちつ持たれつの関係がある。しかも歴代の保守政権はアメリカの要求を受け入れて軍事費を湯水のように使っているから、今回のような贈収賄が横行する素地は整っている。
税金の無駄遣いを続け、しかもその一部が私服を肥やす一部政治家、官僚に流れている実態を徹底して追及し、正さなければならない。この問題を優先して究明すべきであり、アメリカへの軍事貢献でしかない海外派兵の法律を何が何でも通すことなど論外だ。

2007.11.29:

ちょっと日記から遠ざかっていたのは、不登校の他にも息子のことで色々あったため。もちろん息子との真剣な話し合いが続いたが。
さて、最近の食品を中心とした各種の偽装事件、私が最も興味を引いたのが栗本鉄工所の製品。食品は直接人間の口に入るものだから非常に重要なのだが、技術系で生きてきた我が身には工業製品が最も身近に感じる。
問題の根本にはカタログに記載した数値と異なるものを長期間にわたって出荷していたことである。しかも製品の品質を最終的にチェックすべき品質管理の部署が深くかかわっていることである。
通常、高い精度を要求される品物には誤差の範囲をきっちり規定し、それに合わせて検査員がチェックする。またJIS(日本工業規格)には精度に関する規格もあって、それに基づいて工業製品は作られている。だが、もしそれらを無視してしまうなら世の中何でもありになってしまう。例えば寸法を半分にしても、また逆に倍にしても平気でいられるようになる。
本来なら品質管理の部署が社内の「お目付け役」として独立した権限を与えられるものだが、これが製造現場と組んで偽造するなら、もはやその会社から売られている製品の信頼性は完全になくなる。強度がどうのこうのという問題ではない。
以前仕事で栗本鉄工所の工場を訪問したことがあるが、外部の人間にはそんなことをする会社には見えなかった。もちろん後ろめたいことをやっていたのだから洩れないようにやっていたのだが。
その業界で著名な会社がこのような不正行為をやっていたこと、またそれが次々に明るみになる今の世相は、今までの汚れた世界の暴露と同時に、新しいモラルの構築を始める一歩なのかも知れないが、あまりに悲しすぎる話だ。

2007.11.25:

生命保険会社から連絡があり、生命保険の保険料がいずれ倍近くなるという。
終身タイプで払込期間が終了するのだが、自動更新すると保険料が跳ね上がるのである。そりゃまあ、年齢とともに死亡率は高くなるから保険会社もそれまでの掛け金ではパンクする可能性があるのだろうが、いきなり倍では加入者は腰を抜かす。死亡率も比例してドーンと上昇するなんてことは考えられない、余りに現実を無視した契約変更である。
保険会社に聞いてみたが、更新時にはそういう仕組みがあるらしい。そうでなくてもこれから給料は下がるばかりなのに、逆に生命保険料だけ上ってはたまらない。仕方がないので、一部の保険を解約し、それを残った保険に充当することにした。
まあ、これからは家のローンもないし、子供も独立するだろうから、死亡保険金額を下げて、葬式代だけ残せば十分だろうとは思っているが。

2007.11.24:

農林水産省が馬鹿馬鹿しい発想の試算をやっている。
「もし朝食を食べない人がちゃんと食べるようになれば1.5兆円市場になる」というものである。
朝食抜きの問題を栄養学とか生理学の正しい認識で捉えるのでなく、単なる経済効果の観点で計るというのはいかがなものか。例の米余り現象、価格下落が背景にあって、農水省が朝食キャンペーンをやるらしいが、問題のアプローチの仕方に判然としないものがある。
このごろのマスコミ報道に目立つが、このように新空港開港、高速道計画、さらにはオリンピックやプロ野球のチーム優勝にまで「経済効果○○円」とかいう指標を使うことが多い。別にその事実を否定するわけではないが、本来の目的・趣旨がどうなのかということを正面から論じないのは焦点がぼける。経済効果というのはあくまで派生的効果でしかないのである。
農水省はまさにそのような論点ぼかしをやっている。なぜ若者に朝食抜きが多いのか、どうしたら規則的な生活ができるのかということを提起しないで、そろばん勘定だけをやっている姿はみっともない。金のことばかりに気を取られて、肝心の食料自給率が40%を割ってしまったことに危機感を感じないのはどこかタガが外れている。

2007.11.22:

息子の不登校はどうやら落ち着きそうだ。昨日息子の親しい同級生から電話があって「心配しないでいいから出て来い」と励ましがあった。
それで息子は安心して今日は登校した。
はっきり言って、息子が通う学校はレベルが低い。しかし担任の先生には恵まれたようで、今回の電話も私と担任との話し合いを通じて、担任が息子の友人に呼びかけを喚起したようだ。
私自身ではないが、私が中学生の時にこんなことがあった。クラスで時々休む生徒がいたのだが、ある日のこと数学の先生が休む理由を詳細に話してくれた。休む理由は彼の家庭内暴力にあった。彼の標的は祖母で、相当ひどいことをやったらしい。その後彼の友人数人が自宅を訪れて、バイトに誘うことで解決に向かったという。
今回の場合も、息子に電話するよう声をかけた担任の教諭の感覚は似たものがある。親とか教師の説得には反応できなくても、同世代の子供からの呼びかけには反応できる点では、私の頃と変わってはいない。
大人の多くの言葉よりも同世代の言葉には反応する、そうした傾向は今も昔も変わらない。

2007.11.21:

今日は本社に出かけて全社的な会議に出席した。
内容は来年導入する社内外共有データベース。このようなデータベースはWeb取引用として既にひとつ存在するが、今回のものは取引とは直接関係ない。
しかし考え方は一緒で、ファイアーウォールの外側(実質的に社外)にサーバーを置き、ブラウザを使ってIDとパスワードでアクセス、信号はSSLというものである。この技術は一般化しているので、さして珍しいことではない。
問題はユーザーの使い勝手。今日明らかになったのはやたら入力項目が多いこと。それとゴミデータを防ぐために社外の組織に割り当てた番号をキーにするのだが、このキーは経理で使われているものと共通であること。すなわち何らかの取引がないと登録できないことになっているのである。
もうひとつは現在各事業部が独自に作っている同様のデータベースを横滑りで移行するかどうか。まだ確定はしていないが、新しいデータベースの使い勝手が悪ければ「二重帳簿」になる。もしそうなったら、新しいものは誰も使わなくなるだろう。

2007.11.20:

息子がまたもやいじめに遭っている。「学校に行くのがいやになる」と、最近休みがちになっている。話を聞くとかなりひどいようだ。
しかも、以前は本人が教師にいじめを訴え、教師から加害者を注意したらしいのだが、逆に「チクった」とエスカレートしており、息子は我慢の限度を越えたようだ。
いじめは人権問題である。神戸での高校生の自殺で明らかになったように、加害者の人権感覚はゼロである。小学生以下だ。息子の場合も、金を巻き上げられるような事態にはなっていないが、耳を疑うような行為が行われている。なぜこのようないじめをやるのか、加害者はどんな育ち方をしたのかまったく理解できない。
一般論としては世の中の反映と言えるのだろうが、家庭も学校も彼らの不満や言い分を十分に捕らえきれず、結局放置されているのだと思う。文部科学省が今頃になって調査基準を変え、改めて調査したらいじめの件数が膨れ上がった。そもそも被害者救済、人権教育をろくにやらなかったためだと思う。加害者の「説教」とか、警察に協力を仰ぐなどという感覚では絶対解決できないだろう。
根本的には、育てる側を含めた基本的人権の学習と実践だろう。人を大切にする家庭・学校、そして弱者にやさしい社会にしなければならない。

2007.11.19:

今朝はよく冷え込んだ。東北は大雪、東京でも雪がちらついたという。
私も今日は毛糸のベストを着込んで駅から会社まで歩いた。本当はパッチを穿くかどうか迷ったが、冷え込みは今日だけのことと思ってやめた。
それにしても急に冷え込むのにはまいった。これでは体がついてこない。
楓の葉もおかしな散り方をする。黄色が葉全体に回らないうちに落ちるのである。変な季節の変化だ。

2007.11.17:

週末はいつも掃除、洗濯、買い物に明け暮れているが、息子と二人だけの生活を始めてから2年間近く、次第に発想が主婦に似てきた。
いちばん気になるようになったのは野菜などの値段の変化。店に行って特売品を見つけると、それを使ったメニューをどうするか思いをめぐらすのである。茄子が安いとなると、麻婆茄子とか茄子のベーコン炒めとかがすぐ頭に浮かぶ。
それでも9〜10月頃は野菜が高くて悩ましかった。やはり栄養のバランスを考えると野菜抜きはできない。値段が安定しているもやしなども使うが、緑黄色野菜は必ず摂りたい。よって高いキャベツなどは半分のものを買って我慢した。
ウチでは油と砂糖はほとんど使わない。揚げ物は滅多にやらないし、甘みは味醂で十分である。揚げ物は息子の弁当によく入れたが、近頃は冷凍食品の味に嫌気がさして、学食に変えた。だからなおさら油は使わない。
ところで先日久しぶりに食用油を買いに行ったら、今まで1500gのボトルだったものが1300gになっていた、実質的な値上げである。

2007.11.15:

今頃になって初体験の作業をすることになり、今日完成した。
内容は、Wordで作られたある案内文を下請け該当企業にのみ配布するというものである。もう少し具体的に言うと、ノーツデータベースに入っている取引先業者リストから社名、住所などを抜き出してあて先をWordに差込印刷をするのである。
ノーツからあて先リストを抜き出そうとしたが、ゴミデータがかなり含まれているのでとても使えない。そこで一旦Excelに落とした。しかし、直接ではない。ノーツのアドインにはLotus1-2-3 Ver.2(ものすごくマイナーなソフト)の形式しかない。それでフリーで出ているCSV形式のアドインをインストールして書き出し、その後Excelで取り込むことにした。
そこからは手作業でゴミを削除、次にオートフィルタを使って資本金と支払条件を元に下請け該当企業を絞込み。ここまでで取引が登録されている全企業2000社から約1000社が抽出された。
しかしその先がまた問題で、もはや最近は付き合いのない取引先は除外することになり、別のシートにある発注実績を元に過去4年間発注実績のないところはふるい落とすことになった。
これがまた大変で、内容が違うシートからデータを引っ張るにはExcelだとVLOOKUP関数を使わねばならない。簡単に言うと、それぞれ独立している生徒名簿シートと試験の点数シートから5段階評価の表を作るようなものである。しかし私はこのVLOOKUP関数を使ったことがない。電算関係者ですらデータベースソフトの経験はあってもExcelのこんな関数は知らなかった。仕方がないのでネットの解説サイトを見て試行錯誤するしかなかった。
さらに次の問題はWordの差込印刷で、これまた周囲に経験者はいなかった。再びネットが頼りである。
それでもどうにかして完成したのである。初体験の作業を2つこなして、ここまで来るのに延べ約1週間。実にしんどい作業だった。

2007.11.14:

近頃は「法令遵守」とか「コンプライアンス」という言葉で管理を強化することが多くなったが、マスコミ報道にあるように、食品をはじめいろいろなところで品質に問題のある製品が出荷されている。
昔と違って、国民の目も厳しいし、また義憤から内部告発が多くなっていることもあるだろう。いずれにしても偽装やごまかし、データの改ざんなどは許されるべきでない。こうなってしまった背景には小泉改革・規制緩和がからんでいる。法的規制は緩められ、品質管理は社内の「自主管理」に任されたのである。そうなると一部の心無い連中が悪用することは目に見えていた。
今、問題を起こした各社ともに「管理強化」とか「再発防止」と言っているが、社内の馴れ合いを放置したままでは空文になる。最も確実な方法は公的な規制と第三者機関による監査だろう。
ウチの会社では、最近内部監査がしょっちゅう行われるし、またISO9000の外部監査がうるさくなった。当然会計監査も事細かにやるようになった。そうした傾向から「ニチアス」などはISO9000の認定を取り消される可能性もある。ISOの監査のみで完璧なチェックが行えるわけではないが、それらを総合した監視システムが必要になっている。もちろん法的規制と罰則強化はこれまたもうひとつの柱である。

2007.11.13:

工場内のある建屋の看板を見て気付いたことがある。今までの主力製品を示す「○○工場」だったのが、別の工場・事務所で設計された製品名に変わっていた。
実は今年になってこれまでの主力製品から撤退することになり、そのあと工場内の設備もかなり入れ替えて、社内の別事業部から請けた仕事で操業を継続することになったのである。いわば社内向けの「加工業者」というわけである。
こんなことになった理由は、主力製品での営業活動で大問題をやらかし、売れなくなったためである。社長は決断して「加工業者」で生きるようにと指示した。何しろ国内に数台しかないような大型加工機械が並ぶ工場である。遊ばしておくにはもったいない。しかも好調な事業部にすれば独自工場増設よりも安上がりで増産できる。
ということで建屋の看板も入れ替えたのである。時代の趨勢といえばそれまでだが、こうなった責任は誰にあるか?そんなことを考えてしまった。

2007.11.12:

つまらない話だが、ふと昔の「サザエさん」のTVドラマのことを思い出した。
調べてみると1965年頃の放映。同じ頃に「男はつらいよ」もTVドラマでやっていた。
「サザエさん」の配役は、

サザエ:江利チエミ
マスオ:川崎敬三
波平:森川信
フネ:清川虹子
カツオ:吉原誠利
ワカメ:上原ゆかり

大人の役はすべて故人となった。特に江利チエミは若くして亡くなった。私がちょうどドイツに駐在していたときに訃報を聞いた。歌手として活躍していただけに残念に思った。
ところで「男はつらいよ」のTVドラマは、

寅次郎:渥美清
さくら:長山藍子
おいちゃん:森川信
おばちゃん:杉山とく子
雄二郎(※自称・寅の実弟。タネ違いの弟。):佐藤蛾次郎

であった。森川信はあの飄々とした雰囲気が「オヤジ」のキャラに似合っていた。
こういう話は私の世代まで。1960年代は完全に遠くなった。

2007.11.11:

やっと秋らしい気温になってきた。というわけで食事の後片付けで湯を多く使うようになってきたのだが、毎年冬場の悩みは手の荒れ。
湯を使うと猛烈に手のひび割れが進行する。主婦ならよくご存知のはずだが、水ばかりだと今度は手がしびれて我慢できない。仕方なく湯を使うと手が荒れるという矛盾に陥る。
こういう場合、私はもっぱら尿素入りのハンドクリームを手にすり込む。これで少なくともあかぎれにまで進行することはない。
もしあかぎれにまでいってしまったら、痛みはあるが味噌を塗ると良い。これはあちこちで聞いた。「かあさんの歌」で「かあさんのあかぎれ痛い 生味噌をすりこむ」という歌詞があるが、あれは本当である。

2007.11.09:

メイン機/サーバー機のバックアップ、ちょっと時間があったのでメイン機の増設HDをサーバー機に移設した。容量は80GBであるが、両方のDドライブにあるデータを移しても十分に余裕はある。そもそもHDに画像や動画を溜めないから(ほとんどはCD、DVDに焼いている)、そんなに大容量はいらない。Cドライブのバックアップを含めたとしてもまだ余る。そもそもメーカー品のように余計なソフトは入れていないから、Cドライブは多いときでも7GBを超えたことはない。Dドライブの大半はフリーソフトの圧縮、アップデータだからこれも数GB。
ということでミラーリングもうまくいっているから、本格運用を開始する。
後はLANドライブが安くなるのを待とう。

2007.11.08:

暦の上では今日が立冬。
しかし本格的な秋さえ自宅周辺には来ていない。最高気温は20度を超えるし、銀杏や楓の葉は一向に色づかない。これでは冬どころではない。
季節の遅れはそれほど甚だしい。今年は台風の上陸も少なかった。

2007.11.07:

最近、JRの電車のドアに小さなステッカーが貼られているのに気付いた。
ドアの戸袋寄りで、上には「開くドアにご注意」と書いてある。そして下の方は「ひらくドアにごちゅうい」となっている。明らかに下のは子供向けを意図している。こういう気遣いができるようになって、JRも少しは大人になってきたな、と思った。
その昔、多胡輝という人が「頭の体操」というクイズめいた本をシリーズで出したことがある。その第1巻でこんなのがあった。「エレベータの下りは行けるが、上りは行けない人がいる。なぜか」という趣旨の問題である。正解は言うまでもない、JRの発想と同じである。
子供の視点というのは大切なことだ。時として先入観の強い大人にはできない発想をすることがある。だから彼らの意見をよく聞かねばならない。残念ながら私もそうだが、大人は子供の頃に見聞したことの大半を忘れている。

2007.11.05:

結論めいた言い方になるが、福田、小沢両名ともに国民の声を聞いて行動することとは無縁のタイプのようだ。
まるで権力闘争と野望に満ちた政界を描く、漫画の主人公のようである。そこには己が描く勝手な日本の未来像と国民を自分の方に向かせるアジ演説はあっても、国民の利益を擁護する姿勢は微塵もない。
今の日本に存在する「二大政党制」は幻想である。マスコミがもてはやし、世論を「二大政党制」に誘導しようとしているが、それは目くらましである。現実は福田、小沢の密室会談で話されたような、自衛隊海外派兵をすることでの一致であり、国民から批判された従来の自公政治の継続を許すことである。
小沢党首が辞任を表明したのに対して、民主党として慰留工作をするらしいが、「民主党を育てた」という論理もおかしな話だ。政党を支えるのは最終的に有権者だ。どんなにいいことを言ったとしても、国民の支持がなければ議席は取れない。国民が反自公政権を掲げた民主党に投票したのはなぜかということに目を向けるべきだ。その点で小沢代表は「国民のためになる」政策を実現するためとの名目といいつつ、「大連立」というかたちで国民を敵に売ったのである。そのような人物をいつまでも代表と担ぐのは国民を馬鹿にした話である。

2007.11.03:

昨日の話は結局大山鳴動ネズミ一匹で終わった。
さすがに民主党内でも反対意見が続出、「大政翼賛会になる」、「選挙公約に反する」など、あっさりと決まった。というかそれくらいの認識がないようでは国民の声を代弁する資格がない。
福田内閣は、どの法案もまともには通らないことを「政策が実行できない」として自分の土俵に民主党を引き込むことで乗り切ろうとした。しかし、もし法案を通したいのなら通るような案を出せばいい話で、国民が「ノー」を突きつけた従来の路線を変えないのでは所詮無理な話だ。発足当時「背水の陣」と自称したが、これでは相手に無条件降伏と味方に加わることを提案しているのと同じである。
それにしても暗闇の党首会談を国会開催中に、それも審議を止めて行うのは「密室政治」と批判されても仕方がない。しかも小沢代表から自衛隊海外派遣の恒久法案を提案したとも噂されている。私のネット仲間が「浮かぶガソリンスタンド」と評した給油活動どころではない、世界中にいつでもどこでも自衛隊を出せるような法案を作ろうというのは道理が通らない。
いずれにせよ、密室会談の全貌を明らかにすべきだ。また、守屋元次官の疑惑をはじめ、給油先もその量も明らかにされていない問題を、国会の場できちんと論議すべきだ。

2007.11.02:

驚くべきニュースが流れた。
福田首相が小沢代表に「大連立」を申し入れたという。一体何を考えているか、開いた口がふさがらない。
国会運営が思うようにいかないための苦し紛れの申し入れだが、どのような影響が出るかをよく考えない、滅茶苦茶の発想だ。
対する小沢代表は「持ち帰る」としたが、即座に拒否できない民主党の体質を如実に物語っている。民主党を構成するのは、自民党からの離反者、社会党の右派勢力、民社党と、元々右よりの連合で自民党に似た政策を持っている。政府ですら違憲として参加しなかったアフガンでのISAFに加わることを提案したり、今は黙っているが、消費税増税を提唱した例もある。
とはいえ民主党がそう簡単に「イエス」と言うことはないだろう。この稿を書いた時点ではまだ不明だが、もし「大連立」に合意するならば、それは先の参議院選挙の公約に反する許しがたい国民への裏切り行為であるからだ。それは衆議院の総選挙だけではすまない。参議院で得た議席は詐欺に値するからだ。

2007.11.01:

政治・行政の思惑が外れた例をふたつ、
ひとつは言うまでもなくインド洋での給油活動。もうひとつは新幹線新駅建設。
国際的な評価が本当にあったのか疑わしく、かつ油の使途が不明朗な給油艦の派遣が期限切れで終わった。どんな屁理屈を重ねようとも、米軍支援としか考えられない、このような活動は止めてしかるべきだ。
実際、給油量をごまかしたり、イラク戦争に流用されていない証拠があいまいでは、国民が納得するわけがない。しかも政府は戦闘活動ばかりに重点を置いており、これも日本がやるべき本当のアフガン支援とは言えない。その意味ではイラクでの空輸活動もやめるべきだ。何を運んでいるかは秘密というのでは、派遣の正当性が疑われる。
従って今回の派遣終了は当然である。これこそ国民の勝利だ。
次に新幹線の栗東新駅建設。無駄な「公共投資」の典型で、建設業者を喜ばせる意味しかない事業はもはややるべきでない。裁判所もと特定工事のためだけの起債は違法とした。そして滋賀県と栗東市が対立したまま、契約の前提条件としての合意が成立しなかったために期限切れ、契約は破棄された。
今回の新駅の問題は、公共事業のあり方、特にどの事業を選定するかに住民の厳しい目が注がれるようになったということを示している。
いずれのケースもそうだが、国民が納得できないものは「ノー」という歯止めがかかることもあるという、具体例が表に出てきたと言えるのではないか。