悪餓鬼日記帖:なにぃ、文句あっか!

09.11


2009.11.29:

いよいよ11月も終りだが、晩秋を告げる近所の銀杏並木からの枯葉はまだ本格化していない。
いつもなら道路が黄色のじゅうたんを敷いたようになるのだが、その光景はどうやら12月にずれ込みそうだ。
ジャケットの襟を立て、パッチを穿いて暗いうちから出勤するのは、まだ先のようだ。

2009.11.28:

大相撲九州場所は千秋楽を待たずに白鵬の優勝が決まった。
ただ、優勝の引き金を引いたのは朝青龍の連敗だろう。両者が連勝を続けていれば千秋楽の決戦で盛り上がったはずである。
朝青龍の連敗癖はなかなか治らない。今日も負けて3連敗。誰にも失敗はあるから黒星ひとつで騒ぐ気はない。しかし彼の場合は緊張感が切れてしまうとその後は大崩れしてしまうのが特徴である。今回は怪我の影響があるのは確かなようだが、過去に何度も連敗を繰り返した実績は否定できない。
プライベートな問題にまで立ち入るマスコミの姿勢は問題だとしても、プロスポーツ選手に求められる肉体的精神的強さが時としてもろくも崩れる朝青龍の現状は残念に思う。

2009.11.27:

民主党政権による「事業仕訳」という名の査定がマスコミをにぎわしている。
例によってマスコミは一部の話を針小棒大に取り上げるが、私は報道しない部分、さらに言えば政権が査定を避けている部分にこそ、本当に手をつけるべき内容があると見ている。もちろん私は専門家ではないから政府予算の隅々まで知っているわけではない。
しかし今回の査定の話には胡散臭さがつきまとうのである。
来年度予算の概算要求にあたって、当然官僚ベースの計算、プラス政権側のマニフェストによる積み上げがあるから95兆円にも膨れ上がった。それを削るという作業はこれまた当然なのだが、その査定基準には政権側の意向が大きくはたらく。しかしその意向の客観性が実は大問題で、そこはマスコミも突っ込まない。だから私は疑問に感じるのである。
例えば大企業向けの優遇税制や補助金には手付かずとしか考えられない。しかしこれこそ「聖域」なのではないか?
何を「聖域」とすべきか、それは国民が判断すべき問題なのだが、それを国民が判断できる材料をマスコミは与えてくれない。
だから査定がどうのこうのよりも、査定にかけるべき項目が何なのかをまず明らかにすべきと考えるのである。

2009.11.26:

日記がちょっと途絶えたのは、「新のぞみプロジェクト」の会議が続いたこと、そして息子の退職強要で会社との交渉が最終盤に差しかかったからである。
新システムの話は集中的に処理して決めるべきことを決めれば後は楽である。しかし裁判沙汰は神経戦が続く。
実は訴訟に持ち込むことはほぼなくなったのである。会社側が金銭的解決を提案し、違法行為はうやむやにしようという戦術に出た。弁護士に言わせると、訴訟に持ち込んでも大した金は取れないだろうし時間もかかってしまう。だったら安上がりな方法で決着する方がいいだろうという判断である。息子も長期化には難色を示したので、その線で行くことにした。
私なら、会社のあくどい手口を公にして制裁を加える方を選ぶのだが、やはり決定権は息子にあるので無理強いをするつもりはない。どういうやり方が良かったのか、それを評価するのは息子自身でなくてはならない。親が引き回したらその責任は親にはね返ってくるだけである。

2009.11.22:

今年も5○歳の誕生日を迎えてしまった。
最近は年を重ねることによる成長の喜びよりも、落ちこぼれずに生き残っていることを確かめることが多い。
私くらいの年になると、そろそろ心ならすも人生のページを閉じる人達が目立つようになる。事故、病気、あるいは自ら命を絶つ人がぼつぼつ出てくる。そこを乗り越えて生き延びていることは単純にラッキーと喜べないのである。
思えば私の兄は癌によって働き盛りの中途でこの世を去った。幸いというべきか、私は兄よりも長い人生を過ごしている。しかも薬の助けを借りて。これを喜ぶべきかどうかはわからない。だが人間は天寿を全うして生きることを無意識であるにせよ望むのである。それを何人も否定できる根拠はない。

2009.11.21:

ここしばらく初冬のような寒い日が続いている。
パッチを穿くほどの冷え込みではないが、上は防寒対策が必要である。
暖冬傾向にありながら、このような冷え込みは珍しい。明日は京都に出かける用事があるのだが、いつもよりやや厚着をしないといけないようだ。盆地独特の、夏は暑く冬は寒い現象だけは今も昔も変わらない。

2009.11.20:

今日は妙なニュースが流れた。
政府の月例経済報告はデフレを宣言しながら、日銀は経済の回復基調としている。これは一体何なのか?
個人的意見だが、政府はGDPの数値を見ているのに対し日銀は輸出を中心としている大企業の動向を重視していると思われる。
両者の視点に僅かの差はあるが、欠けているのはいずれも国民生活から見た経済状況である。
政府の統計でも給与所得は減少し、失業率は上っている。ここを何とかしない限りデフレスパイラルは止まらないし、輸出頼みの企業の脆弱性を克服することはできない。

2009.11.19:

今日はボジョレ・ヌーヴォーの解禁日。どうやら人気は次第に下がりつつあるようで、廉価なものの出始めているが、ペットボトルだけはごめん蒙りたい。
ワインはビンによる遮光効果で変質を防いでいるし、底が盛り上がって澱を分離するのだから、それが失われては台無しだ。
ところで私は、日本で有名になる前からあの独特の味が気に入っていた。
80年代の初め、出張でパリに立ち寄ったときにレストランの入口に「ボジョレヌーヴォー入荷!」と書いてあったので、珍しさから飲んでみたのがきっかけである。少しガスが含まれた酸味がさわやかな口当たりをもたらして、それ以来お気に入りになったのである。
もっとも日本ではあまり飲む気になれない。向こうでの価格の2倍以上するからである。

2009.11.15:

完全失業率が今年になって急激に上昇し、現在は5.5%くらいになってしまっている。この調子だと、「年越派遣村」は昨年よりももっと悲惨な光景を見ることになるかも知れない。昨年の完全失業率は派遣労働者の首切りが激しかったとはいえ、4.5%だった。
残念ながら民主党政権になっても失業問題は本腰を入れた解決策が出ていない。最大の懸案だった現場における派遣労働の禁止法案は自公政権時代に否決されたまま棚ざらしになっている。これでは派遣村の問題は解決しないし、悪化するばかりだ。

2009.11.13:

私の離婚話は決着を迎えた。金銭的解決で合意し、来年1月に手続が終わる。
細かいことは言えないが、それなりの金額を財産分与のかたちで分割払いを行う。一時払いの分が多いので支払が終わるまで現金預金は生活費を除いて底をつく。まあ仕方がないのだが。
残るは息子の話だが、今週に弁護士と会社側の交渉があるので結果待ちとなる。何らかの進展があればいいのだが。

2009.11.12:

英会話講師をしていたイギリス人女性の死体遺棄事件で市橋容疑者が逮捕されたが、最近の過熱報道にはうんざりする。
逃走している犯人を警察が追い詰めるまではともかく、やれ大阪で働いていた、神戸で働いていたなど、細かいことを大々的に報道して何になる。今日はTBSの社員が送検される容疑者を乗せた車の妨害をするなど警察官ともめた。放送、新聞ともに芸能週刊誌並みに落ちぶれたものだ。
報道するなら予算の査定の問題など、政治向きの方がよっぽど大事だ。自民党が、米軍への「思いやり予算」(要するに貢物だ)を政権が査定対象にしたことに、必死に抵抗する姿勢を見せた。これこそ反省も方針見直しもない象徴として注目すべきだろう。
もちろん民主党政権にも沖縄米軍基地や、後期高齢者医療廃止の先延ばしなど問題はある。
しかしマスコミの視点は80年代以降、国民の目線からますます離れていくばかりだ。

2009.11.10:

ベルリンの壁崩壊から20年経った。
誰もが、ここ当分は東西の冷戦は続くだろうと思っていたが、壁はわずか30年ほどの寿命しかなかったのである。
しかし壁によって引き裂かれたドイツ人の人生に刻まれた傷は小さくない。壁があった間に、東西の政治・経済の構造は様変わりしてしまい、今も経済格差などの問題が残っている。
だが、壁崩壊以降に生まれた子供が二十歳になって、これから修復の歴史を歩むことになるだろう。
壁崩壊の前後のシーンを目撃した私にとって、人間が生み出した不条理とそれを是正する力が発揮された例として歴史に刻まれる事であろうと信ずる。

2009.11.07:

ふと気付いたのだが、最近の日記は季節の移り変わりに触れることがほとんどなかった。
ということは、通勤の行き帰りに車窓から見える風景を落ち着いて見る心境にはなかったということになる。
確かに息子の退職強要での訴訟、私の離婚調停というプレッシャーがあることは否めないのだが、そのことが私の精神的余裕をなくしていることは、どう解釈しようとも間違いないように思える。
善し悪しの問題ではなく、そのことを冷静に見つめることが必要に思われる。

2009.11.05:

朝から経理から電話があって、先月のデータがおかしいと言い出した。見た目は在庫の数字が倉庫から出された書類と経理のデータと数百万円合わないという。さてはシステムのバグかと思い、情シスに調査を依頼した。
だが結果は意外なところにあった。
ある発注担当者が間違って、下請に対する支払をあたかも社内発注のような扱いで処理をしたことが原因とわかった。社内発注だから他事業部への経費の付け回しになるのだが、相手先がいない。よって支払うべき金が余った状態になって見かけ上の在庫金額となって表面化したのである。
当然発注担当者は目玉を食らう。だが、何故彼が勘違いをしたのかは不明である。考えられるのは他に社内発注があって、問題となった発注を一緒に処理してしまったこと。
最近は下請法の遵守ということがうるさく言われるので、もし支払がなされなかったら大騒ぎになるところだった。経理は1円でも食い違ったら徹底して追及しようとするが、そういうチェック体制が甘かったら防げなかっただろう。

2009.11.04:

寒さも少しやわらいで、帰り道もさわやかに歩くことが出来た。しかし頭の中は休み明けでやや重い。しかも月末データ整理といくつかの月報を作るために朝からバタバタ。加えて会議。
今日も慌しい一日が過ぎていく。

2009.11.02:

今日は朝から強風で、しかも次第に冷たい風に変わっていった。気象台は「木枯らし1号」を宣言。急に冬が来たような感じである。
どうも今年は季節の変わり目が極端な気がする。
何でもかんでも地球温暖化のせいにするつもりはないが、やはり若い頃に比べておかしな動きがあるのは否めない。とにかく今までのような年によるバラツキとは異質なものを感じるのである。
さて、本日は月末データインプットの最終日。あわてているのか、倉庫担当からは2件の問い合わせ。いずれも原因はインプットミス。もう少し落ち着けよな。

2009.11.01:

もう11月。今年ほど月日が早く過ぎる年はない。
何しろ息子の就職から退職強要、提訴の動きに追われるし、私自身も時折家庭裁判所に通うので、落ち着いてものを考えることが億劫になってしまう。
真夏の選挙と、その後の政権交代について思うところは数々あるのだが、考えがまとまらないうちに一日が過ぎてしまう。
もしひとつだけ取り上げるなら、「後期高齢者医療」の廃止の先送りは明らかに公約違反だということを指摘しておこう。元に戻すだけのことに何の困難があるのか、とても信じられない。
私にとって、この制度の存在はいずれやってくる75歳に恐怖感を与える。以前にも書いたが、糖尿病のような持病を抱える人に医療費の上限を設けることがいかにひどいか、つまり「死ね」という言葉を投げつける制度なのであるから、これは即刻やめるべきもの。民主党も選挙前は国会で廃止に積極的だったのだから、今になって障害を持ち出すのは不自然極まる。何か不純な動機があるのだろうか。