悪餓鬼日記帖:なにぃ、文句あっか! |
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2011.03.31:
福島第1原発の事故により、少なくとも1〜4号機の廃炉が確定した。東電会長(社長は病院に入ってしまった)が明らかにした。
首相や官房長官は5、6号機も廃炉にすることを頭に描いている。しかし東電幹部や安全保安院は先手を打った発言が不満なようだ。
地元民にすれば福島県内全部を廃炉にしてくれという気持ちだろう。何年かかろうともである。そうでなければ安心して暮らすことなど不可能だからである。余震の連続どころの話ではない。
とにかく安全性の全面的見直し、原発開発政策の見直しは避けて通れない。国民世論が強ければ長期計画であっても原発からの決別ということもあり得るかもしれないのである。
それだけ今回の事故は重大な問題提起を突きつけた。なのに「廃炉は金がかかる」とか「時間がかかる」とか、あるいは決断を先延ばしにして抵抗を試みようという向きもあるようだ。
地雷が残っているが、金がないのでそのまま放置して怯えながら生活するか、思い切って処理装置を買って一気に地雷を一掃するか、貴方ならどっちを選ぶ?
2011.03.30:
今回の震災の名をかたった色々な犯罪が問題になっている。窃盗や詐欺が阪神のときよりも多く報じられている。考えたら阪神の時には振り込め詐欺などなかった。
とはいえ、海外で報じられているように、略奪や暴力のない、大多数は整列してコンビニの前に並んでいる人達ばかりである。
それと今回はチェーンメールやウィルスメールが出回っていることである。これも阪神の時にはまだWindows95が出たばかりで、インターネットもまだ普及していなかった。
私は計画停電が始まったばかりのときにチェーンメールを受け取った。会社の友人から「関東で不足した電力を関西から送るので、節電に協力して欲しい。友達にも協力を呼びかけて欲しい」という趣旨である。
私はこれに半分はまった。転送はしなかったが、「協力する」という返事を書いたのである。
大半の方、特に電気の専門知識のない人は「おかしい」と思っただろう。何故なら60Hzから50Hzに電気を送るなど直感的に不可能と感じるからである。
ところが学校の電気関係の教科書には周波数変換のことが載っているのである。ということで、なまじ専門知識のある人間がチェーンメールにはまってしまうという結果になった。
実際、今でも関西電力・中部電力合わせて最大100万キロワットの電力が東京電力に送られている。その仕組みはこうである。
まず、60Hzの交流モーターで直流発電機を回す。これで出来た直流電力で直流モーターを回し、直結した交流発電機で50Hzの電力を発生させるのである。
この方法だと同じ設備のままモーターと発電機の立場を逆転させて(その仕組みは省略する)50Hz地域から60Hz地域に送ることもできるので非常に便利なのである。
現在のインバーターでは双方向の送電はできない(理由は専門的になるのでこれも省略)ので、やるとすれば倍の設備が必要になる。
要するに専門知識が邪魔になってチェーンメールにはまったのであるが、作者は周波数変換のことなど知らずに書いたのだろう。
2011.03.29:
今日もまた昨日の続きで残業。今回ほど気分の良くない決算はない。何しろ営業が客に対する「隠し受注」をしていたのだから。
仕事の話はともかく、最悪の事実がほぼ確定した。福島第1原発2号機からの燃料漏れである。プルトニウムが検出されたのだが、これは原子炉内でのウラン238からしか生成されないのだから、もはや疑う余地がない。チェルノブイリやスリーマイル島に匹敵するレベルの事故である。
こうした事故が世界的に報道されたことから、風評被害で日本の農産物のオーダーがキャンセルになったり、観光客が減ったりしている。もし大量の放射能が本当に拡散したら間違いなく日本は孤立する。もちろん国内経済はどん底に落ちるだろう。
「安全神話」が生んだシナリオのうち、最悪のストーリーが進みつつある、と私は見る。もちろんそうあって欲しくないことは言うまでもない。
2011.03.28:
今日は仕事で忙しく、残業せざるを得なかった。決算直前になって、これまで一握りの人間だけが知っていた、3月中の機械点検技師の派遣が明らかになったのである。
現時点から見たら過去に完了した話だから決算に含めないといけない。よってジョブ番号の発番から発注書の作成、支払まで数日で終了させなければならない。
関係者に電話やメールを入れて、発注伝票の作成までは今日までに終えた。
ついでに言うと、「のぞみシステム」の時代はこれだけで3日かかった。しかし今の「新のぞみシステム」では1日で処理できるようになった。その意味では進歩である。
さて、私が仕事に追いまくられている間に、震災で確認された死者は1万人を超えた。行方不明はまだ増える見込みだから未曾有の災害である。
そして原発の方も放射能漏れが収まるどころか、実態が明らかになるにつれて恐ろしい事実が明らかになっている。どうやら福島第1の2号機は原子炉格納容器から直接放射能が出ていると思われる。
爆発していないだけで、もはやチェルノブイリと同様の事態と考えてもいいようだ。
何と悲しいことだろう。
2011.03.26:
今回ほど津波の恐ろしさを物語るものはない。
以前インドネシア沖で起こったときのビデオを見たことがあるが、その時はあまり実感がなかった。
しかし今度の津波だけは数字が表しているように、いかに巨大であったかをうかがい知ることが出来る。死者・行方不明は間もなく3万人に達しようとしている。普通の地震だけならここまで人数は増えなかっただろう。阪神大震災では津波による犠牲暑はゼロである。幸いにしてわずかな潮位の変化だけで済んだ。
ところがチリ地震津波の経験がありながら、これだけの被害を生んだということは、関係者が語っているように当時とは比較にならないほどの波が押し寄せ、津波対策として海中に作られた防潮堤が破壊されるほどのエネルギーが放出されたのである。
だが本当に想定外の津波だったのだろうか?
そのことは福島第1原発の事故に如実に現れている。緊急時に動くはずの非常発電機は壊れ、炉心や使用済み核燃料プール用の冷却水は供給されずに、「起こるはずのない」重大な事態を招いた。
他のことはいざ知らず、原発のような安全性を最も確保すべき設備がいとも簡単に壊れては困るのである。柏崎刈羽原発で火のついた変圧器を消火できなかったことを教訓にすべきだった。しかしそれは無視され、その時をはるかに上回る事故を起こしたのである。
我々はこのことを記憶に深く刻み、二度と多大な犠牲者を生まないようなシステムを、政治・経済などあらゆる面で構築せねばならない。
2011.03.25:
福島第1原発の事故は、関係者の努力もむなしく深みにはまるばかりで、被爆した作業員が病院に運ばれるなどしたために近寄れない状態だ。だからといって放置するとまた温度が上昇する。
要するにどこかが漏れているのだが、それを調べるにも放出されている放射線が強くて近寄れない。だから水をかけるが漏れは止まっていないので大気中に放出され、野菜や水道水が汚染されてしまう。
決死隊を組んで止めようとするのだが、被爆してしまうので近寄れない。・・・温度上昇・・・放射能放出・・・悪循環である。
こういうことを続けていると、頭に浮かぶのはチェルノブイリのような「棺桶」、すなわちコンクリート詰めである。
奇しくも今回の放水作業で使われたのはビル建設用のコンクリートポンプ車に手を加えたもの。元は高層ビルのコンクリート打設用に作られたものだが、距離が離れたところへ液体を送るにはうってつけの道具である。
それはともかく、気になるのは政府発表で出てくる「原子力保安院」という存在。元は原発に関する許認可を扱う組織だが、原発推進派の経済産業省の管轄でしかも原発については素人の官僚集団。だから発表するのは東電からの情報のみ。もちろん現場に張り付くわけでもなく、住民の避難指示と同時に真っ先に逃げるしか能がない。東電の会社幹部と同じく自ら汗をかかない集団だから推して知るべしである。
しかし事はそれではすまない。
今後どういう事態になるかは知れないが、本当に頼りになるのはそうした現場で危険を顧みずに頑張っている作業員の人達、それと原子力安全委員会のような専門家である。
2011.03.24:
ちょっと仕事がらみの話。
震災後会社上層部からどんな影響が出るかを調べろという指示があったが、下に降りてくる途中で話が拡大して「すべての取引先」について聴取せよということにすりかわった。
もちろん東北・関東に工場があるところは押しなべて被害が出ているから、報道にもあるとおり自動車や電子部品で操業停止を余儀なくされているところもある。伏兵だったのはJRで、直流モーターに使われるブラシ(最近のインバータモーターでは不要)が供給できなくなることもわかり、電車の本数を減らすことも計画されている。
確かにウチの会社でも、見かけでは関西に工場がありながら下請、孫受けで「えっ」ということはあり得る。
だからといってそれらを芋づる式に徹底して調べるわけにはいかない。相手の会社だって同じように震災の影響を調べているのであるから、それに輪をかけてせっつかれることは迷惑でしかない。
よって私は主に4月納期の分に絞り込んで聞いている。幸いにして今のところ悪い噂は耳にしていない。
だが問題はまだこれからと私は見ている。
当面は、海岸に近くて津波を食ったところや土地の液状化で復旧に長期間を要するところを除けば、出勤率が悪い、燃料の油が足りない、停電がある、輸送手段が断たれているというのが大半だが、これらは1ヶ月程度で回復できるだろう。
だがその次に来るのは、いい方向では震災特需で需要がさばききれない、悪い方向では倒産・廃業で部品が作れなくなることである。
いずれにせよ、事態は流動的である。そのことを理解せずに大騒ぎをしても無駄。相手の会社の動向をウォッチしながら動くべきである。また、それには被災地の復興のスピードが重要な鍵である。
もちろん復興が一日でも早くなることは喜ばしいこと。またそのためには国民の多大な支援が必要であることは言うまでもない。
2011.03.23:
まずいことがまた起こった。放出された放射性物質がおちこちで通常よりも多く検出されている。ほうれん草に原乳、挙句に水道水までも。
現在検出されているのは主にヨウ素131やセシウム137などだが、外気に含まれている微量のものはそれほど気にすることはないが、これが食物として体内に取り込まれ、体内被曝を起こすと健康に害を及ぼす。
特にこれらの放射性物質の内、セシウム137は放射線量が半分になるまでの期間(半減期)が30年もあり、その間細胞が傷つけられるのではたまったものではない。だからそれらの付着したものを摂取するのは非常にまずいのである。
放水によって原子炉の温度は次第に下がりつつあるが、完全に安定するまでの見通しはまだはっきりしない。ということはまだ放射性物質の放出は続くのである。東電の社長が謝罪しようがしまいが関係はない。
チェルノブイリでもそうだったように、一旦原発で重大事故が起こったら非常に危険かつ広範囲の問題が起こる。消防車が出て鎮火させるような手順では食い止められないのである。
現状では福島県内の原発の再稼動は不可能だろう。世界第2「棺桶」になるかもしれない。もちろん政府の原発政策の見直しも必至。場合によっては世界中のすべての原発に対する安全対策にも影響が出るだろう。既にドイツやフランスでも総点検を始める動きがある。
2011.03.22:
東電の社長が福島県知事に謝罪の面会を申し入れたら、見事に断られた。
当然だろう。まだ放射性物質の垂れ流しも止まっていないし、農産物汚染もあり、県民の命を預かっている知事としては善後策に苦慮しているところである。そんなところへ表敬訪問よろしく形だけの謝罪をしに行って何になる。
また、副社長は原発の避難民がいる避難所へ謝罪訪問をした。「何しに来た!」という罵声が飛んだようだが、避難民の願いは元の家に戻ることであって口先の謝罪ではない。
東電の幹部がこういう認識では救いようがない。
大名行列をする暇があったら、自ら福島原発に出向いて被爆のリスクを負いながら放水の手伝いでもすればよい。今優先してやるべきことは放射能の流出を食い止めることなのだから。
2011.03.21:
ラジオの番組で、2歳の子供がTV画面に紙おむつを入れるようなしぐさをしていたという話をやっていた。紙おむつの不足が繰り返し報道されていたから、「ボクのをあげる」という気持ちになったのだろう。やさしい子である。
遂に死者・行方不明が2万人を超えた。やっと被災地の中心にいけるようになって、連絡が取れない家族などが本当に行方不明であることが確実になり、届け出たという例が多いのではないか。同時に、家族丸ごと津波に持っていかれた可能性もあり、行方不明はまだ増えることも考えられる。
このように1週間過ぎても被害の全体像がまだ掴みきれないのは、地震の揺れよりも津波の影響があまりに大きいことが挙げられよう。また、被災地へのアクセスが陸海共に悪いうえに、被災地域がとてつもなく広くて集中的に人員を投入するということが困難なこともある。
従って、阪神大震災のときは1週間くらいでボランティアや物資の投入が本格化したのだが、今回は行方不明者の捜索や物資の輸送などもゆっくりしか進展しない。
残念だが復興には相当の時間がかかるようだ。
2011.03.20:
福島第1原発の放水作業、何とか当面の危機は避けられたようだ。しかし炉心を完全に水没させ、温度が完全に下がったかどうかははっきりしないようで、まだまだ安心は出来ない。
それにしても作業にあたった消防、自衛隊、東電の作業員などの懸命の努力には頭が下がる。
大量被爆の可能性を頭に描きながら放水をしていたときの緊張感は想像にあまる。日本人なら広島・長崎の事実を教えられているはずだから、場合によっては死を覚悟せねばならないことを容易に察しただろう。事実、政府は作業者が連続して放水を続けさせるために、被爆許容量を上げた。
そしてさらに続く問題として周辺の農産物の汚染である。ほうれん草と牛乳から高めの放射線が検出された。こうなると原発付近の農産物は誰も買わなくなるかも知れないし、住民は元の家に戻ることをためらうことも考えられる。
電力会社はそろって「原発はCO2を出しません」というCMを流していたが、放射性物質が流れ出したらCO2どころではなくなるということを見せ付けられたら、「環境にやさしい」という言葉は空しく聞こえる。
2011.03.19:
急激な円高を受けてG7が電話を通じて開かれ、円売り介入でとりあえずの市場の混乱は回避されたが、これには考えさせられるものがある。
報道によれば、日本企業が震災の復興資金の調達のために海外投資を引き上げて円に変えるという予測が円買いのきっかけという。
真偽のほどはともかく、あれだけ円高が一気に進むということは、大量の投機マネーが注ぎ込まれたと見るべきだろう。これに対してG7は危機感を感じたと思われる。火事場泥棒的な発想で為替相場が乱されるのを黙って見ているというのは、各国政府にとっていかにも世間体が悪いからである。
この事実に対して同時に言えることは、ヘッジファンドのような投機マネーを野放にしたままで、もぐら叩きのように対処するのには限界があるということだ。リーマンショックで問題になったように、やはり何らかの国際的な規制がなければ、今回のような問題は何度でも起こりうるし、それを泥縄式に抑えるのはもはや限界に来ている。
投資の規制に対して最も反対しているのはアメリカだが、元をただせばリーマンショックの震源地はそのアメリカ自身。EUは規制強化に賛成する立場だが、アメリカに最も忠実な日本は、今回の円高のきっかけとなる震災を蒙った被害者の立場としてもっと主張すべきことを言わない。
国内経済のしっかりした復興よりも、輸出大企業にとって有利か不利かということが最優先なのか。
2011.03.18:
昨日の補足。
私が担当している仕事の一部で、被災地にある工場向けの機械の補修部品の手配をやっていて、4〜6月にかけて納品する予定だったが、東京の本社からキャンセル依頼が来た。
場合によってはキャンセル代も払うということだったが、実損は発生しなかったので無料キャンセルとなり喜ばれた。
肝心の被災地の工場だが、2日前にやっと「社員全員の無事が確認された。しかし設備は被害を受けた」との情報がHPに出された。操業再開は今のところ不明である。それだけ被害がひどいということだ。しかも燃料や電気の供給もままならぬ。
一方ウチの会社では義捐金のほかに復興支援用の車両など、総額億単位の無償提供を決めた。
阪神大震災の時も同様の支援を行ったが、大企業としての社会的責任を果たすという意味で、それくらいのことは当然だと世間が見る、そういう時代になったことを感じる。
2011.03.17:
ウチの会社では被災した地域向けで過去に多くの機械、設備を納入している。
そのことから、重役からは「被災した機械の調査・復旧の要請があったらできうる限りの協力をせよ」という指令が出た。
もっとも被害の現状がまだ第一報しか届いていない状態では、動きようがない。それでも入手した写真などでは、機械丸ごと津波に持っていかれたというのもある。
それらの情報を統合すると、やはり想像を絶する被害ということが見えてくる。しかも地震そのものによる倒壊ではなくて、津波で全体または部分がもぎ取られるというものが多い。こうなると修理ということはほぼ不可能で、作り直しになる可能性が極めて高い。特に電気設備は外見上の破損はなくても、一度海水を浴びたら銅でできた部分は猛烈な青錆を発して再使用はできなくなる。
ともあれ現在は人命の救助、孤立した人達の救出、避難場所の支援が最優先だが、その次に来る生活再建、働く場所の確保を考えると、経済活動の基盤となる産業の復興という点で、暗澹たるものが見える気がする。
2011.03.16:
福島第一原発はもはやミニ・チェルブイリの様相をなしている。
地震直前まで稼動していた1〜3号だけでなく、停止中の4号機も燃料プールの水が減ったようで、爆発を起こしている。
チェルノブイリの場合は炉全体が一気に爆発して大量の放射能を撒き散らしたが、福島第一はチョロチョロ小出しにしているだけで、何をやっても効果がなければ半永久的に放射能を垂れ流すことになる。これはもう最悪のシナリオ。想像したくない、というかそんなことにならないよう、関係者の努力を期待する。
この事故についてはIAEAのみならず世界中が注目しているし、どうやらアメリカなどが支援に乗り出したようだ。
ここには日本の電力会社・政府には緊急事態を処理できる能力がないことをさらけ出すと同時に、原発を使っている諸外国にとっても教訓を得るという意味がある。日本の事故を受けてドイツでは老朽化した原発7基を停止させた。
ともあれこれ以上被害を大きくしないためにも、専門家を含めて衆知を結集した対策が急がれる。もうこれ以上「安全神話」に汚染された頭脳の持ち主だけに任せるわけにはいかない事態になっている。
2011.03.15:
東京都の石原知事がまたも不謹慎な発言をした。
今回の震災について「これはやっぱり天罰だと思う」とか
、「津波で我欲を洗い落とせ」とも記者会見の場で言った。
これ以上不謹慎で人格に欠けた言葉はないだろう。被災者に何の罪があるというのか。またこれまで額に汗して働いていた人達の命が突然奪われる理由は何もない。「我欲」などという曖昧な概念でもって、あたかも国民全体が天災に責任を負っているようなことを言うのは傲慢極まりない。
キリスト教の教義である「原罪」は、人間が働くことの苦痛を定義づけるものではあっても、災害に遭う必然性を語ったものではない。
「天罰」などと発言をする人間に都知事の資格はない。
今日、ある新聞の大きな見出しに「株価1万円を割る」というのがあった。
多くの犠牲者が出ており、また避難所で辛うじて命をつないでいる人達にとって株価が何だというのだ。
石原知事はこういう報道にこそ噛み付くできだった。
2011.03.14:
今日も色々な出来事があったが、極めつけは東京電力の2つの不手際。
一つは昨夜急遽決めた計画停電が今朝になって中止されたこと。
週が明けた時の予測が完全に狂ったようで、主な原因は鉄道各社が運休、間引き運転などを行ったことにあるようだ。このあたり、東京電力が削減できる電力の計算を鉄道側と確認していなかったことが考えられる。一方的に停電を決めたとしか思えない。
もうひとつは福島第一原発の炉心溶融事故。
6機あるうちの4〜6号は停止中で、残る3機全部が炉心溶融を起こすという世界史上初めての重大事故である。非常発電機は動かず、ポンプも故障し、遂には消防車を使って海水を入れるという不細工極まりないことをやらざるを得なくなったことは、原発を運転する資格も能力もないということを世界に晒した。それだけでなく、住民を被爆させた責任は重大である。
政府と東京電力は原子炉建屋の爆発でも原子力容器が破損しなかったことを自慢しているようだが、その程度のレベルで安心しているのには開いた口が塞がらない。少なくとも福島第一はすべて閉鎖すべきだろう。しかも電力供給を意図的に主として原発に依存してきた東電・政府のやりかたも今回の電力不足の一因になっているのであり、原子力行政を転換させることも必要だ。
2011.03.13:
昨日は刻々と変わる事態を追うのが精一杯で、日記を更新するにしても書く内容がころころ変わるのはいやだから諦めた。
さて、昨夜友人からメールが来た。
「関西電力で働いている友達からのお願い」ということで、関西電力や中部電力から関東へ電気を融通するので節電して欲しい、というものであった。
専門家の立場としては、60Hzから50Hzに周波数を変換することは不可能ではないし、60Hzの東海道新幹線では富士川以東で使われているので、協力をOKした。しかし直後にネット仲間にも同じメールが来ていることを知り、チェーンメールと判断せざるを得なかった。
そこで調べたところ、60Hzから50Hzに変換する送電設備は10万KWにも満たず、不足すると見積もられている30万KWをはるかに下回ることがわかった。しかも関西電力のHPにはチェーンメールに対する警告と融通する電力には限界があるので圏内での節電が必要になるほどではないとの案内が出ていた。
善意かもしれないが、このようなもっともらしいチェーンメールには怒りを感じる。
さて、電力不足に対して政府と東京電力は計画停電を実施することを決めた。原因はやはり福島第一、第二原発の停止である。意図的とも言える原発依存体質(東電だけではない)と「安全神話」が招いた結果と判断せざるを得ない。
この点は明日詳細に展開する。
最後に、これは本当に悲しむべき事実だが、犠牲者は宮城県警の見積で1万人を超えるようだ。TVで見た陸前高田市など、津波で市街地が一瞬にしてゴミの山と化した姿を見ると涙が出る。
何故数十年前のチリ地震津波の教訓を生かすことができなかったのか、これから原因究明がなされるだろうが、多くの人命が奪われたことに言いようのない悲しさを覚える。
2011.03.11:
今日午後の地震、津波の発生もあって犠牲者が出ている模様。被災地の方々にお見舞い申し上げる。
神戸でも震度2があったらしいが、私のいる事務所では揺れは感じられなかった。しかし地震直後からネット接続がまともにできなくなり、見えた時にYahooで地震の情報が出ていたのでやっと事態が判った。東北で震度7、津波警報が出ているというからただごとではない。
やがて出てきた詳細な情報。そして私がいる事務所は海岸べりなので0.5mの津波警報が出たとの社内放送。全員定時で帰宅せよという命令も出た。
帰宅すると田んぼの中を駆け上る津波の映像を見た。恐ろしい光景である。残念ながら犠牲者が出たし、住宅などの被害も甚大である。
そんな中で注目すべき点が目に留まった。
ひとつは首都圏の鉄道がほぼすべて終日ストップが決まり、予想されていた帰宅難民が発生することになったことである。避難所や休憩施設を急遽準備されるようだが、どの程度まで効果があるか注目したい。
しかしもっと問題なのは原発で、冷却用の非常発電機が動かないこと。一体何のための設備なのか。夜9時過ぎの時点で、冷却水が不足することから周辺住民に避難を命じたそうだが、本末転倒である。新潟の地震でも柏崎刈羽原発で燃え上がる変圧器を消火できない事態が発生したが、非常時に炉心を冷却する設備が動かないなどもってのほか。こんなでたらめなプラントは廃止すべきである。
情報はこれから刻々と変わるだろうが、とりあえずは私のコメントはここで中断する。
2011.03.10:
数十年仕事をやっていると、ある分野では相手の質問に即答できるようになる。これは自慢でも何でもなく、経験がそうさせるのである。
若いときからある特殊なプラントの仕事をやってきた私には、その機器構成、運転方法などが頭の中に入っている。
これがいちばん役に立つのが輸出入の時の税関申告。
通関の仕事には「通関士」という資格がいるので私は直接タッチすることはないが、通関士からの質問には「調べてから」などという答えはほとんどしなくても済む。どうしても電話での説明が困難なときは後で図面をメールすることはあるのだが。
ところで税関・通関士からの質問で多いのが品物の材質。鉄か非鉄か、それに加えて鉄でもどんな種類かというのが圧倒的に多い。これは貿易に使われる「HSコード」という統計用かつ税率換算用の分類コードがあって、輸出入の申告書に必ず記入しないといけない。ちなみに鉄系では普通鋼、高張力鋼、鋳鉄、鋳鋼、鍛鋼、バネ鋼、ステンレス鋼、ステンレス鋳物など多岐にわたる。
これを機械名、部品名、用途名で判断するのには年季がいる。もちろんその元となる資料や書類はファイリングされているので苦労することはないが、即答するにはやはり品物に対する知識が必要。しかも税関・通関士を納得させるには即答できることが重要で、即答できればこちらの言うことが多少曖昧でも信用してもらえるのである。答えがしどろもどろだと相手は不信感を抱く。
自信を持って答える、これもまた重要である。
2011.03.09:
まだちょっと寒い日が続く。とはいえ朝の冷え込みは少しゆるんだ感じがするし、何よりも夜明けが早まった。日没ももちろん以前より遅くなった。考えればあと10日少しで春分の日である。
そして春と共にやってくるのは決算。
経理からは既に決算のための書類を準備しておけという案内が出ている。私は以前の仕事とは変わって、各ジョブ番号の納品・船積などの状況を見て、決算対象とするかどうかの証明書類をかき集める仕事をすることになった。いわば塀の内側に落とすかどうかを決める立場になったのである。
私の性格で書類の回収を後回しにするのはいやだから、2月分までの書類は既に送ってある。問題は3月末ぎりぎりの納期のジョブ番号だが、今のところ危ないものは既に塀の外に落とした。つまり納品予定を意図的に3月末から数日遅らせたのである。
ということで、私としては決算の神経戦は終わっている。
2011.03.08:
ケビン・メア米国務省日本部長(前駐沖縄総領事)が学生相手の講義で「沖縄県民はゆすりの名人」と発言したことが、大問題になっている。
当然と言えば当然で、アメリカ人にとって日本通ともいえる人間の発言だから、信憑性が高いとして受け取られても仕方がない。
沖縄県民は猛反発、政府もさすがに黙っているわけにはいかない問題で、ルース大使に抗議した。
以前から在日米軍、特に沖縄に駐留している部隊は上から下まで占領軍気取りということが言われていた。今回の発言はそれを裏付けるものである。
そもそも沖縄の基地、特に普天間は沖縄戦で上陸した米軍が、地主の合意も何もなしに占領地の拠点として飛行場を作ったもので、安保条約締結後もそのまま居座ったものである。だから占領地としての土地の性格が兵隊の気分にも移って、それが代々受け継がれてきたのである。しかもその占領軍の雰囲気がきちんと払拭されなければ、解消することがない。
メア発言には沖縄における米軍の歴史が見事に反映されている。だが当然ながら日本国民はこれを許すことなどありえない。
2011.03.07:
低気圧の通過で、今朝は雪になる前の細かいしぶきのような雨。関東は積雪したようだが。春先はこんなことが良くある。
さて、長いこと使っていた注射道具の入ったポーチ、ジッパーが壊れてしまったので買いなおし。本来は弁当箱用のものを百円ショップで買って5年以上使ったから惜しくはない。今回もやはり同じものが見つかった。
それにしても5年以上同じデザインは珍しい。大抵は人気回復のためにしょっちゅう改良やモデルチェンジをやるものだが、人気・定番商品は小細工をしなくても売れる。しかも弁当箱関連商品は毎年新入生が買うから需要はあまり落ちない。
このことは「売れる商品とは何か」ということを教えている気がする。
2011.03.06:
昨夜はネット仲間との宴会。約1年半ぶりの再会である。場所はメンバーの一人との幼馴染がやっている店。
しかもその店主は昔別の店で働いていて、仲間は皆その時からの顔見知り。
ふと考えたら、私がこのHPを始めることになった頃からの仲間ばかりで、それぞれ年も重ね、生活の環境も変わっていく中でもずっと付き合いが続いている。話題はもちろんネットの話だけでなく、非常に多岐にわたる。
何故か昨夜は私がかなり喋り捲った。どうしてそうなったかははっきりしないが、例によって私の外向きの性格が最近の仕事の環境の変化で、多少ストレスが溜まっていたのかも知れない。だとしたら他のメンバーは迷惑だっただろう。反省!
2011.03.04:
昨日今日と寒さが戻ってきた。よってファンヒータは再起動。
夕食も温かい汁物が多くなる。但し二人だけなので鍋物はまずやらない。
今日は白菜と豆腐の中華スープ。市販の粉末中華スープをベースに簡単な味付けをし、白菜と豆腐をぶち込んで温めるだけであるが、決め手はラー油。入れすぎるとむせ返るが、体は温まる。
他に良くやるのが豚汁。息子は味噌味が好みだが私は醤油味。味のアクセントは刻んだ油揚げ。さすがにラー油は入れない。入れると豚肉の旨みが死んでしまうからだ。
2011.03.02:
昨日書いた大学受験での不正行為、投稿に関わったとされる人物の特定ができたようだ。偽計業務妨害として警察の捜査が進んでいる。
やはりケータイは電話番号が固定されているから特定しやすいのだろう。
PCではこうはいかない。DHCPでもしょっちゅうIPアドレスが変わるようであれば特定は困難だし、もし海外のプロキシサーバーを経由されていたらお手上げだ。
件の人物、ケータイの通信の仕組みについてはまったく無知なようだ。しかも投稿サイトの書き込みにいつも同じハンドルネームを使っているなどは、捜査の手助けをしているようなものである。
いずれにせよ、事件に関わった人物(複数だろう)の人生は一時的にせよ回り道をすることになるだろう。
2011.03.01:
私の仕事はバタバタ、世の中もバタバタである。
最近のニュースで驚いたのはやはりケータイを使った受験の不正行為。今の様子だとケータイからの書き込みから、IPアドレスと使った時間の関係から犯人を割り出すのはそれほど困難はないだろう。もちろん電話会社が全面協力すればの話であるが。
だが犯人は何故それほどまでに回答を入手することに固執したのか、また協力者はどんな見返りを期待したのだろうか?
今の学歴社会、しかも一流大学に合格することが根底にあることは言うまでもないが、もし犯罪者(?)として特定されれば、彼(彼女)の人生はエリートから転落する。それだけのリスクは覚悟せねばならない。
また、よしんば出世できたとしても、すべてのエリートが社長になれるわけではない。
昔会社で、父親は戦前の軍の元将校、本人も一流国立大学卒という男が入社した。もちろん彼は係長から課長とすぐに昇進した。だが彼はエリート風を吹かすあまり、自ら率先して仕事をするのではなく、何事も部下に仕事を割り振り、命令するだけの日々を続けていた。もちろん評判は良くないし、友達もいなかった。
そんな彼が、ある日突然出世コースの部署から開発営業のような部署に移された。彼はその瞬間意気消沈してしまい、次第に意欲をなくすと共に、遂には出社拒否を起こすようになった。
その時、彼には手を差し伸べるべき友達がいなかったので、病状は良くならずに悪化の一途を辿り、入退院を繰り返しているうちに定年を迎えた。もちろん温かく見送る人もいなかったのである。
その後の彼の消息は誰も知らない。