悪餓鬼日記帖:なにぃ、文句あっか! |
2011 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2012 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2013 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2011.11.30:
沖縄防衛局長の更迭が決まった。もちろん彼を擁護する人は誰もいまい。
このことに関してはあちこちで報道がされているし、防衛大臣を含めて批判されているので多くを語る必要はないだろう。
ただ、問題を整理しておくと、彼の「犯す前に、これから犯しますとは言わない」という発言は2つの点で批判されるべきだろう。
−強姦を例にした、女性を侮辱するものであること。
−県知事以下の沖縄県民を見下し、力でもって基地移転を強行する姿勢を当然視していること。
同時に、このような発言が生まれる根源には民主党政府の基地問題に対する態度も反映している。
総選挙前、「基地は少なくとも県外に」と言って支持を集めながら、選挙が終わったら自民党時代と変わらぬ方針を出し、防衛当局に対してもこれまでとは違うことを命令しているわけではないのだから、当局は辺古野移転に反対する沖縄は疎ましい存在でしかない。
非公式な場ということで局長は安心して喋ったのだろうが、私が以前から言っているように、無意識に語っていることが本音であるという公式がまた証明されたのである。
2011.11.29:
久々に輸入の仕事。
ドイツから機械部品を積んだ船が出たが、日本に着くまで約1ヶ月と少しかかる。ヨーロッパ−日本の定期船はハンブルグやロッテルダムなどいくつかの港を出た後、途中シンガポールに寄港するくらいで日本までほぼ直行だが、高速のコンテナ船でもそれくらいかかる。しかもヨーロッパ航路には10万トンクラスの巨大船が就航している。それだけ貨物量が多いということだが、まるで海の上の大型トラックのようである。
一方の輸出だが、今週は航空便が2回、船便が1回ある。来週は多分船便が2回あるだろう。営業の尻を叩いて船積の準備に忙しい。もちろん梱包屋も大忙しである。
2011.11.28:
橋下大阪市長が誕生した。予想以上の圧勝である。
私は大阪市民・大阪府民でもないのであれこれ批判することは差し控えるが、「維新の会」のもとでこれからどのような政治が行われるのか、注目したい。同時に有権者が今後どのように市政・府政を判断するか、成功か失敗か、見守りたいとも思う。
特に重視すべきは「ハシズム」で、日本における民主主義のあり方の試金石として、今後の政治姿勢が問われるだろう。というのも、「小泉劇場」がその後どのようなものを残したのかと比較してみれば、ひとつの共通点が見えるからである。
松井府政・橋下市政で庶民が安心して暮らせる社会が本当に実現できるのか、「大阪都構想」ばかりがクローズアップされて、今はまったく見えない。
2011.11.27:
友人と話していたら、世の中不思議な計算がまかり通っているという。
具体的には時間外労働の話。
労働基準法では「法定休日」というのがあって、一部変則は認めるものの週に1回は必ず休まないといけないことになっている。また、平日の残業と休日出勤を含めて時間外労働の上限も定められている。勿論労働者の過重労働を防ぐためである。
ところがこの時間外労働の計算が、週休2日制が主流になってきた現実と合わなくなってきているのである。
ひとつの例を示そう。
土日が会社の休日で、日曜を法定休日に定めた(法的には土曜日でもOK)場合、土曜日に出勤を命じても、それは時間外労働の計算には含まれない、すなわち平日の残業と日曜の出勤だけがカウントされるということなのである。
言っておくが、この場合土曜日出勤の賃金を支払わなくていいということではない。労働時間と賃金の話はまったく別問題である。法律もそうなっている。
さて、こうなると金さえ払えば土曜日に出勤させることが容易になる。労働時間に対する法律の規定が今はまだ週休1日の考え方に基づいているからこんな変なことが起こるのである。
2011.11.26:
いよいよ晩秋の寒さになってきた。洗濯物が一日で乾かない。
ただ、街路樹の葉はまだ本格的に色づいていない。桜でさえもまだ葉が落ちないのである。
勿論これから冬に向かって季節は進み、やがて銀杏も黄色の衣を脱ぎ捨てる。
私としては、いつからパッチを穿いたらいいか、その見極めをする時期でもある。
2011.11.25:
関西電力の高浜2号原発が定期検査のため停止作業に入った。
これで関西電力の11期の原発のうち8基が停止。残る3基も来年2月までには停止する。国内全部では54基のうち残るのは10基となる。
ということはこの冬の節電が成功して乗り切ったら、原発はなくてもやっていけるという事実が残ることになる。もちろん火力がやや増えているので、温室効果ガスの問題が後退することが懸念されるが。しかし原発のように、一旦事故が起これば短時間で破滅的な結果を招くことはCO2の比ではないことは証明済みである。
原発の稼動数が減ることについて、政府も電力会社も必死になって巻き返しを図ろうとしている。その際たるものは「ストレステスト」だ。
しかしテストのやり方も数値の評価も客観性があるのかというと、実は何もない。自分達で勝手に決めたものが基準になっているに過ぎない。これでは「安全だ、安全だ」と繰り返す安全神話と変わらない。しかも安全対策を強化しないまま、ストレステストをやろうとしている。これでは現状のままで再稼動を許可するためのお墨付きを与える意味しかない。なおかつ評価を決定する原子力安全委員会などの組織は従来のまま。これでは客観的評価などが期待できるわけがない。
こういうことだから、原発は一旦全部停止したらいいのだ。もし停電したらろうそくでも灯せばいい。私の子供の頃は雷が鳴って停電したら半時間くらいろうそくで過ごすことは当たり前のことだった。
そうしているうちに国民全部で電力の無駄遣いを防ぐ工夫が定着するだろう。事実、この夏は見事乗り切ったではないか。
2011.11.24:
今日は関西で3件の鉄道飛び込み事故が続いた。ネットでは「人身事故」と表現されているが、99%飛び込みだろう。
最近は関西でも鉄道への飛込みが増えた。10年ほど前、出張でウチの東京事務所に行った時、窓からJRが止まっているのを見て事務所の人間に「電車が止まっているよ」と言ったら、「ああ、また飛び込みか」と答えるほど、関東では既に多かったが、関西でも増えているということは、それだけ社会の悪化が進んでいるということだ。
実はウチの会社でも、春先に若者が飛び込み自殺した。何が原因かは聞いていないが、大企業の社員でも自殺は以前より増えている。以前にも書いたが、私の顔見知りも自動車で排気ガス自殺した。
賃金の低下、増税、福祉の切捨てなどにより、庶民にとってますます住みにくい社会になっている。生活保護家庭が戦後すぐの時代よりも増えたというのは、このことを示す重要な指標だろう。
加えて、これからは消費税増税、年金支給開始年齢の引き上げなど、「弱者は死ね」と言わんばかりの話が提起されている。
一方で、補助金を付けてまで誘致したパナソニックの尼崎工場の縮小の話で、補助金の減額、返還ができないことが県議会で問題になっている。理由は縮小、撤退の場合の返還条項がないからである。これでは花火だけ打ち上げて、残ったゴミの始末はしなくていいというようなもの。
こうして「企業栄え、民滅ぶ」の構図は一向に改まらない。
2011.11.23:
以前書いたことのあるMarinetraffic、今日はほぼ一日サーバーダウンで見られず。
最近は仕事で利用する貨物船の動きを言えでも見ていたのだが、サーバーがコケていてはどうにもならない。
ところで船と同様のトラッキングシステムは航空機にもある。昔から機内でやっているのだからあって当たり前ということなのだが、ネットに本格的なものが出たのは最近のことのようだ。
私が利用するのはFlightAware。ここはリアルタイムで機体の位置がわかる。但し岸壁までわかる船のように、滑走路まで見えるわけではないのだが。
世の中、これほどまで地球全体の動きがわかるところまで来たのか、と言う感じがする。その画期的な技術を生み出したのはやはりGoogleMapだろう。他人の家のプライベートまで見えてしまうという問題が一部あるが、それを除けばこれから色々な発展が見込める技術である。もちろんPCの容量が膨大な画像データを処理できるようになったことも背景にあるのだが。
これからどこまで進むのかはわからないが、私が若い頃に8ビットPCが出てから30年、ネットの世界はまだまだ進歩が止まらない。
2011.11.22:
とうとう還暦まで「リーチ」がかかった。
とはいえめでたい日なので今夜は息子と二人でささやかな宴会。私は「ボジョレ・ヌーボー」の小さな瓶を開けた。息子は飲める歳になってもアルコールは好まず。
ということで、今日はきこしめているので沢山の言葉は重ねない。
2011.11.21:
今「エリエール」のブランドで有名な大王製紙がマスコミをにぎわしている。前会長が多額の会社の金を私的に使ったことが原因である。
しかも前会長はその金の少なくない部分をギャンブルで使ったようである。
普通の会社では考えられないこのような流用はどうして可能だったのか。報道によれば創業家の出である彼は子会社を使って自分の口座に金を振り込ませていたようだ。創業家のワンマン体質に対して誰も諌めることができなかった背景もある。
本人は金を返すと言っているようだが、返す返さないに関わらず、明らかに会社法に定める「特別背任罪」に該当する。これは一般の従業員の横領どころではない、経営責任を負う会社幹部による犯罪だから特に重い罪に問われるのである。
会社が一旦設立されれば、会社幹部は株主、社員、消費者などいわゆる「ステークホルダー」に対する社会的責任を負う。それは会社が大きくなるほど影響が大きくなる。
ましてやオーナー社長の場合は自分の一言がすべてを決することが多いからなおさらである。そのことを忘れて慢心すると今回のようなことが起こる。不思議なことに中小企業の社長ほどこのことは身に染みて感じているようである。懇意にしているある零細商社の社長は「生活のかかっている従業員をそう簡単に切れるものではない」と私に語ったことがある。
一方で、ある非上場の大手建設会社のオーナー社長は、社員からの声に対して「俺が会社をやめると言ったらお前等の首は簡単に切れる」と脅す発言をするという。残念ながらこの社長は企業の社会的責任を理解していないようだ。
大王製紙のケースに見られるように、まだ日本には自分の言動の重大さを自覚しないワンマン経営者が少なくない気がする。
2011.11.20:
最近のニュースで注目すべきことがある。
もはや過去の話になってしまうのかもしれないが、バブル崩壊後、政府日銀は大手銀行に資金投入をして救済をした。そして銀行はリストラで人減らしをし、中小企業には貸し渋り・貸しはがしをした。いずれも弱い者いじめである。
同時に福祉の切捨てや負担増、さらには雇用そのものも「規制緩和」の名の下に非正規労働が急増して給与所得はガタ減り。そして今度は「税と福祉の一体改革」の名目で、庶民いじめの消費税増税が目論まれている。
一方、EUではギリシャの債務不履行の解決の条件として、公務員のリストラや福祉の切り下げが強制された。イタリアでは首相の交代が行われたが、新しい首相は銀行救済のやり手。ということは今後銀行の救済のための政策が中心になり、庶民に対する攻撃が行われることが予想される。アメリカでもニューヨークで大規模な集会が行われているが、根底には1%の富裕層の所得が残り99%の所得に等しいという不平等に基づいた不満の鬱積がある。
このような富める者はますます富み、貧しき者はどん底に突き落とされる格差社会に、政府は富者を救済することが中心になっていることに、多くの人々が怒っているのである。
その対極として、国王が来日中のブータンでは「GNH(Groos
National
Happines)」という指標を提唱して注目されている。国民がどれだけ安心して日々の生活を送れるか、ということが基本的視点である。そこには最低レベルにあるブータンの国民所得でも、明日の仕事がどうなるのかわからなくて恐怖に怯える非正規労働者のようなストレスを国民に与えたくないという、人間的温かさが見えるのである。
2011.11.19:
今日は雨。何故か最近週末には必ず雨が降っている気がする。
強い雨だと、大きな傘でも服が濡れて困る。しかし買物をやめるわけにもいかないので諦めるしかない。
最近は息子が買物を手伝うようになった。年齢と共に約1週間分の重い荷物を抱えて息を弾ませながら帰ってくる親父の姿を見て、何もしないのは気が引けるようである。
しかも食事の後片付けもするようになった。もっともここ数日は指を痛めて休み中。
彼の指には妙な傾向があって、爪が極端に湾曲し、それが肉に食い込んで出血、それで時々外科に行く。爪を切るときに深爪しないことが大切なのだが、もはやそういうレベルを超えてしまったようだ。
とはいえ、彼が自分の役割ということをまともい考えるようになったことだけは間違いないようだ。
2011.11.18:
船積の準備が相変わらず忙しい。来週は2件、再来週は航空便を含めて3件が予定されている。結局クリスマスまでは輸出オンパレード。
よって船積書類の準備が忙しい。加えて最近は国際宅急便(クーリエ)で小物部品や書類も送ることがある。
このクーリエは国内の宅急便と同じで、ドアからドアへ荷物を配達してくれるものである。実は郵便局も数十年前から「EMS」という国際宅急便のネットワークに加盟している。EMSは貨物の紛失が極めて少ないことで有名なのであるが、料金は高い。
宅急便は最近本当に便利になった。何と言っても貨物の追跡がネットでできるようになり、相手が受け取ったことまでがわかるのである。これで安心して物が送れる。但し、そのメッセージで時として驚かされることがある。それは「受取拒否」と表示されることで、それはないだろうと思ってしまう。相手が送って欲しいと言っておきながら、何だ!ということになる。
実はその裏には、相手の国での関税が受取人負担であることに腰を抜かして、「ちょっと待ってくれ」と受取サインをためらうことがあるようだ。
2011.11.17:
最近になって、大型プラント(私は関与していない)の船積がストップすることになった。
理由は、建設現場へ資機材を運ぶのに川や運河を利用するのだが、寒冷地のために今頃から凍り始めるので輸送をストップせざるを得なくなったのである。どうやら輸送ルートを決める際に冬に何が起こるかをよく調査していなかった模様である。
そうでなくても寒いところでの建設工事は冬場は中断してしまうのが半ば常識。例えば北海道では12月から翌年3月くらいまではよほどの事情がない限り現場には誰もいなくなる。もしも氷点下でコンクリートを打ったらどうなるか。固まる途中で水分が凍ってしまい、ボロボロになる。
それと建設用の鋼材などは絶対に雪の中に放置してはならない。雪は単なる水ではない。結晶が溶けたときにイオン化した状態になるので鉄を腐食させるのである。
また寒冷地では、建物の鉄骨などは寒冷地用の材料を使う。気温が氷点下になると普通の鋼材では「低温脆性」といってちょっとした衝撃で割れたりするので、成分を少しだけ変えたものを作るのである。
神戸のような温暖地に住んでいると、厳寒の地で暮らす人達の暮らしがどんなものであるか、なかなか想像がつきにくい。
2011.11.16:
昨日の話、商社の担当者に電話して「返事がないのなら今までどおり進める」と言ったら、すんなりOKした。
さて、話は変わってこれまた貿易に関する話題。
輸出入の際、税関に対する申告書には「HSコード」と呼ばれる貨物の分類コードを必ず書くようになっていて、そのコードごとに売買金額を書くようになっている。これは関税の計算や貿易統計の集計に使われたりする。しかもこのコードは国際共通で、最初の6桁は国際条約で共通化されている。但し7桁目からは各国独自のものを使うことができて、桁数も自由。日本は3桁の追加部分があるので計9桁となる。
通常は乙仲の通関士がこちらのINVOICE(送り状)を見てHSコードを決め、税関に対する申告書に記入してくれる。とはいってもウチの会社が扱うような工業製品に精通しているわけではないので、時々質問が来る。但し、分類の仕方は技術畑の人間から見れば異質なものである。特にこだわりがあるのは材質。鉄鋼製品か、非鉄金属か、ゴムか、プラスチックか、・・・などなど。その用途や機能はどちらかというと2次的である。
そういう通関に関する話でHSコードについて質問を受けることが多いのだが、今日は突如として営業からHSコードを教えてくれという質問が来た。何で営業が???と思って聞いたところ、貿易保険の加入申請に必要だと言う。そこで調べたら確かに保険の申請書にHSコードを記入する項目がある。
理由は不明だが、そんなところにまでHSコードが必要だとは思わなかった。
2011.11.15:
今月も半ばを過ぎて、今年も残るところ1ヶ月半。時間は年末に向けて休みなく進んでいる。
これから年末にかけて船積が目白押し・・・のはずだったが、しょっぱなにコケた。
梱包に刷り込むSHIPPING
MARKが決まらない。その書式は客先の注文書にも規定されていないので自由だし、これまでの注文とほとんど変わらないのに、機転が利かない商社の担当者がご丁寧に客に「許可」を取ろうとしてメールを打ったと言う。
契約の縛りもないのにいちいち聞くから、そうでなくても対応が悪い客がすぐに返事をよこす当てはない。よって日が経つごとに船積が遅れるのである。
こういうくだらないことで時間をつぶすのはもったいない。よって明日は最後通告を出すつもりだ。
2011.11.14:
今月1日に書いた貿易に関連する法令の話だが、昔から輸出に関してうるさいくらいに言われる話がある。それは外為法に基づく「輸出貿易管理令」という省令である。所管は経済産業省。
これはもう数十年前からやられていることだが、特定の国に対して、特定の品目については経済産業省の許可を要するということについて、しつこいくらい目を光らせているのである。
「特定の国」というのは北朝鮮やイランなどのことである。「特定の品目」とはもちろん核兵器を含む武器と武器転用可能な品物・技術、それとコンピュータなどの先端技術関連である。
この規制のルーツは、旧共産圏国に対する「ココム規制」に始まる。「ココム委員会」というアメリカ主導の非公開の国際組織が規制品目を決め、それを各国が法律に展開していた。しかし旧ソ連の崩壊でリストは大幅に変わり、今はアメリカが「テロ支援国家」とか「悪の枢軸」と決め付けた国が対象になっている。
輸出する企業は「貿易管理令」に該当するかどうかを常にチェックし、輸出許可を得ねばならない。昔東芝機械が許可を取らずに規制品目を輸出して槍玉に挙げられた。
しかし今はエスカレートして、各企業はコンプライアンス委員会を設けて常にチェックし、その記録を残すように行政指導されている。場合によっては税関あたりから規制に該当しない旨の「非該当証明」の提出を求められる。
うちの会社でも、輸出品はすべて各事業部から該当・非該当のチェックリストを毎月本社のコンプライアンス委員会に提出させられる。このチェックはもちろん外注企業にも適用される。
こういうことから、よく理解していない輸出商社の輸出担当者から変な要求が舞い込むことがある。
ひとつは外国製品を日本を経由せずに第三国に送られるものに対しても「非該当証明」を出せと言うもの。外国から直接輸出するものに日本の法律など適用できるわけがない。知らずに要求しても馬鹿にされるだけである。
もうひとつはそれと逆に、アメリカの法律に基づく非該当証明を出せと言うリクエスト。アメリカを経由しないのに、何でアメリカの許可を得る必要があると一蹴して黙らせた。
日本の「武器輸出三原則」は憲法に照らしても当然であり、国際的にも先進的であるが、アメリカの都合で拡大解釈されたり、逆に緩めろと要求されたりするのは困る。
2011.11.13:
最近生活保護の受給者が急増して、戦後すぐの時代を上回る事態になっている。
原因はもちろん失業者や非正規雇用の増大による収入の不安定化である。物があふれているように見えて、実は金がなくて買えないのである。生産設備が破壊されて職がない戦後とは違う、新しい型の貧困が蔓延しているのである。
それと同時に、政府の指示もあってこれまで自治体が「水際作戦」と称して生活保護を受けさせてこなかったこともある。例えば病弱者に「生活保護を受けたいのなら自分で役所に来い」と言って、申請させない手口が問題になった。交通費もなく体が弱って外出もままならない人が申請できるわけがない。さすがにこれは批判を受けた。
今年は震災の影響で首切りが増えていることもあるだろうが、もう一方の問題として最低賃金が低すぎて生活保護を受けたほうが収入が多くなるということもある。
とにかく社会保障のレベルが日本は先進国の中でも低く、所得格差がひどい。特に生活保護などによる低所得者層への援助はべらぼうに悪いのである。これはOECDの統計にも出ている。
こんな状態で消費税を上げたらどうなるか、これはもう死ねと言っているに等しい。消費税もこれまた日本はひどいことになっていて、何でもかんでも同一税率だが、先進国のほとんどは食料品には非課税あるいは低い税率を適用している。
このような話はマスコミは絶対に取り上げない。よって我々は防護のためにネットを活用し、かつ口コミで伝えていくしかないのである。
2011.11.12:
久しぶりにカレーライスを作った。
約半日、交互に火をつけたり消したりしながら野菜を煮込んで、じゃがいもやたまねぎが溶けてなくなるくらいにする。そうすると不思議な甘みが出る。カレールーを入れるのは食べる1時間くらい前。好きな人はスパイスを買ってきて自分でカレー粉をブレンドして作る。
これは好みによるが、牛乳を少し入れるとマイルドな味になる。但し夏場は気をつけないと、一夜を越すと変質するので要注意。
カレーと言うのは不思議なもので、翌日の方がコクがある。肉や野菜のエキスが十分に溶け込むからだと思う。
ということで、翌日の昼は必ず残ったルウを使ったカレーうどん。しかし出汁などで薄めたりはしない。あのどろっとした感じを残してこそである。
本当のことを言うと、今日はTPP問題で日本を奈落の底に落とした野田首相にはらわたが煮えくり返る気持ちなのだが、心を落ち着かせるために料理の話を書いた。
2011.11.11:
とうとう野田首相はルビコン河を渡った。
「交渉に参加する」を「交渉参加に向けて関係国との協議に入る」と言い換えても何も変わらない。「TPPに参加したい」という希望の意思表示そのものは同じのだから。参加する・しないを先延ばししたわけでもない。
もちろんこういうたわけた言い方をする背景には、民主党の内部を含めた政党の反対だけでなく、良識ある識者や国民からの猛反対があるからである。
今朝もラジオで森永卓郎氏がTPP参加に利益はないと明言した。そして野田首相がTPPに固執する理由に、アメリカの圧力には逆らえない、「核の傘」の存在、すなわち日米安保の存在があることを婉曲に語った。
Yahooのアンケートでも7割近い人達がTPP参加反対としている。同時にあちこちから聞こえるのは「国民への説明もろくにしないまま、今慌てて参加表明するのは納得できない」という声である。
今日は111111のゾロ目の日、震災から8ヶ月の日であると同時に、「亡国の日」すなわち地理も歴史も無視して日本を文字通りアメリカの51番目の州に成り下がるきっかけを作った日として永く記録されるだろう。
もちろんそのすべての責任は野田首相にある。
2011.11.10:
今日高らかにTPP交渉参加の宣言をする予定だった野田首相は、決断を1日延ばした。党内を含めて余りの反対の多さに恐れをなしたのだろうか。あくまでも正面突破でやれば何とかなるという算段が狂った。
しかし彼は1日をかけて何か裏工作をするかもしれない。アメリカのため、財界のため、ここは絶対に譲れないと覚悟を決めていることもあろう。勿論国民の大多数を敵に回そうとも、握った権力は離さない。その「信念」が容易に崩れたら、瞬間にして彼と民主党は空中分解することもありえるだろう。
だが彼がどのような信条を持とうと、TPPが持つ怖さは何も変わらない。日本の独自性は身ぐるみ剥がれ、国内にはアメリカ製品を中心に海外からの製品(農産物だけではない)が大量に流れ込み、逆に日本からは自動車などの製品が洪水のように出て行くことになろう。要するに日本の経済はアメリカのために動くようになり、やがて国内向けの生産と消費の循環は縮小して身動きの取れないものになっていくだろう。そうなれば国民生活の安定はおろか、老人と失業者があふれる疲弊した社会になるに違いない。
その昔イギリスで、産業革命以後のすさまじい資本主義の発展の中で、労働者は過酷な労働を強いられた。その結果健康を害した人々が増え、徴兵をしても使い物にならないほどの若者が大量に入隊して軍部は驚いた。このことから労働時間の制限が叫ばれるようになったという。
先日見たマイケル・ムーア監督の映画に出ていたように、年収1万6千ドルの旅客機パイロットが存在するほど、アメリカ社会はすでに昔のイギリスのように疲弊している。日本もその後を追うのだろうか。
経済は人々の生活の維持と向上のためにあり、人々を犠牲にしてまで一握りの大企業のために存在するのではない。
2011.11.09:
今週に入って、夜中のこむら返りがピタリと止んだ。注射量を1日当たり2単位増やしたためだろう。
それにしても夜中の血糖値が高いことがこれほど大きく影響するとは、今更ながら驚きである。
夏ごろから、食事量も注射量も変えていないのに朝食前の血糖値が130以上になることが多かった。それと同時にこむら返りが増えたのである。
朝食前の注射量から、昼食前の血糖値は大体100前後と想像がついたのだが、これも増えた。これまでなら低血糖を心配するくらいだったのに。
血糖値が高いと血液の粘度が高くなって血行が悪くなるのだろう。こむら返りの原因としてミネラル不足がよく言われるが、普段から野菜は沢山摂るので不足と言うことはありえない。糖尿病対策として、普段から肉類、野菜、豆腐を中心とした豆類をバランス良く食べているからである。
揚げ物は月に数回。昼の会社の弁当に入っている揚げ物は衣を外して食べるくらいだから、皆びっくりする。
こういう状態でもこむら返りが起こるのだから糖尿病で血糖値が高いことは怖いのである。
2011.11.08:
今週からまた船積の仕事が目白押し。今日も神戸港からウチの荷物を積んだ一隻が出航。
船積のときは必ず何種類かの書類(これを「船積書類」という)が必要で、営業の尻を叩きながら必要なものを揃えて乙仲に渡すのが私の役目。それにしてもウチの営業はベテラン以下船積書類の書き方が下手で、私が訂正を入れないと使い物にならない。貿易商社はさすがに玄人で、まずあれこれ添削することはない。
提出すべき船積書類の種類はある程度決まっていて、送り状(INVOICE)・貨物明細(PACKING
LIST)、船積指示票(SHIPPING INSTRUCTION)が基本である。SHIPPING
INSTRUCTIONは船荷証券(B/L)に書き込むべき項目や貨物のタイトルなどを指示したものである。これによって船会社は実際の船便手配などの作業にかかる。
船積書類で他に要求されるものとして、原産地証明(CERTIFICATE
OF ORIGIN)というものがある。これはMADE IN
XXであることを宣言する書類。多くは各国の商工会議所が発行するものを要求されるが、時として信用性のほとんどない売主企業が自分で宣言したものでも許される。
逆に原産地証明に厳密さを要求する国も中東を中心にいくつかあり、その場合はその国の領事館で査証としてスタンプとサインを追記してもらう。イスラエルと関係を持つ企業を締め出す目的ともいわれるがはっきりはしない。しかし何故かギリシャは査証を要求する。サウジは数年前に査証を廃止したが、その代わりにMADE
IN
XXを、荷物からはがれないようなどこかに書けとうるさく言うようになった。
他には、梱包材に薫蒸したものを使っていますという証明書(CERTIFICATE
OF
FUMIGATION)を出せというものがアジアを中心に要求される。
数十年前から、中国を手始めに木材に寄生する昆虫が紛れ込まないように輸出国に梱包材の薫蒸を要求することが多くなったのだが、今はISPMという国際規格に発展して、寄生虫のいない認証された材料を使って梱包すれば、梱包に認証の焼印を押すことでOKとなった。但し中国とかマレーシアは今でもしつこく証明書を要求する。もっとも第三者発行のものとまでは言わないが。
2011.11.07:
一昨日、橋下流ファシズムのことを「ハシズム」と書いたが、どうやらこの言葉を作った先輩がいるようだ。
はっきりしているのは今年9月に大阪で開かれた反橋下シンポジウムのタイトル。しかし誰かれなくそれ以前から使っていたようだ。ということは「橋下」と「ファシズム」の語呂合わせが簡単で、誰しもが思いつく言葉だということだ。
それにしても彼のような断定と独断に満ちた発言をする人物は今に始まったことではない。もちろん元祖はヒットラーであり、ムッソリーニなのだが、現在の特徴は新自由主義と結びついている。
その中で目立つのは小泉元首相。昔の私の日記でも書いたことがあるが、「自分がそう思うからそうなのだ」という、他人の意見に耳を貸さない態度が目立った。ただ、少し前の橋本龍太郎元首相も、文句があるなら対案をもってこいという発言をした。暴論暴言に対案などないと思うのだが。アメリカでは「ネオコン」のライス元国務長官。彼女は自分の主張を一方的に繰り返すだけだった。
橋下氏の場合はさらに、「教育基本条例案」に見られるように上の命令に服従しない者は排除したり、大阪都構想に疑問を投げかける平松大阪市長を敵視して追い出しにかかったりする、独裁的な思想が濃いのが特徴である。
よって「ハシズム」には戦前のファシズムに似た独裁の傾向が強く見られる。ただ、戦前と違うのは、彼に異論を唱える勢力が少なからず存在することである。
2011.11.06:
昨日の通院で最近の病状の変化と、会社の定期健診の結果について主治医と話し合った。
結論的には注射量を少しづつ増やして様子を見ようということになった。
話の中で、定期健診の心臓や肺について「所見あり、経過を観察」となっていたことについて、私が何で毎年症名がコロコロ変わるのか、診断医の見解の違いかと訊ねたら、確かに個人差があるとの見解だった。私としては個人差だけでなく、学んだ学校の「師匠」の好みも受け継がれるようにも見える。
私がネットで調べていて気付いたのだが、今年は「左心室肥大」という所見について、心電図の波形を読み違えて肥大と誤診することがあるという。主治医は、私の場合は高血圧だから多少は肥大することもあるだろうとのこと。
そう考えると、今年の定期検査の診断医はやたら症名をつけることが好きなタイプのようである。医者も人の子だからあれこれ気になることを書き付けることもあるのだろうが、素人にとって大袈裟で意味不明の専門用語を使って、不安を煽るようなことはもう少し遠慮してもらいたい。
2011.11.05:
注目の大阪府知事・大阪市長同時選挙、事態は意外な展開を見せている。
市長選で第3勢力として立候補を予定していた渡司(わたし)前市議(共産)が、突如取り止めを宣言した。理由は「利敵行為をしない」、「あくまで橋下ファッショ政治を阻止する」ということである。当然ながら共産党を含む彼の支持母体は平松支持に回ることになる。これまでの世論調査では平松、橋下両候補の支持率は拮抗していただけに、これは橋下陣営の打撃になるだろう。
従来の共産党の姿勢であれば、もし2つの対立候補がいても、両者とも従来の自民党政治に似た政策であれば、「真の革新」と称して独自候補を立てるのが常であった。また2人の保守系候補者の一方を支持する場合は、その候補との協定を結んで対立候補の悪政を阻止するという名目を必ず取った。
しかし今回は平松候補との政策協定も結ばず、自らの判断で撤退を決めて橋下ファシズムを絶対に阻止するという作戦を選んだのである。恐らく共産党にとっては初めての出来事、「名を捨て実を取る」という選択をした。時代は変わったものだと感じる。
昨日書いたように、大阪レベルだけでなく、国政でも橋下流のマスコミを利用した劇場型政治・ファシズム(私はこれを「ハシズム」と名付ける)が台頭する兆しが見えるが、これだけは絶対に阻止せねばならない。
その意味で、渡司氏の決断は間違っていないと思う。
2011.11.04:
野田首相は国民の声を徹底的に無視し、勝手に決めた既定路線をひたすら突っ走ることに集中している。
沖縄の基地問題(最初に決めたのは彼ではないが)、TPP交渉参加、そして今日はG20で消費税増税を国際公約として発表した。しかも増税法案を国会で決める前の解散総選挙はしないという。
ここまでアメリカと大企業に超忠実な政権は、自民党政権時代でもなかったのではないか。特にTPPでは党が分裂しかねないところまで話がこじれているのに、彼はどこ吹く風である。自分が権力を握ったらすべての政策について自分の好き勝手してもよいというひとりよがりは、どこか橋下前大阪府知事と似ているところがある。
彼とは逆に、ギリシャのパパンドレウ首相はEUが決めた支援策(借金半分棒引き)を受け入れる前提として、突如国民投票による信任を言い出した。ヤケクソになって国民に責任転嫁することを思いついたという側面は否めないが、国民の声を全く無視できないということの反映だろう。
結局この日記を書く直前に国民投票は中止と決めたが、福祉の切捨てや賃下げなど、国民の犠牲を前提とする支援策はそのまま飲めないというジレンマは解消できていない。そのことに呻吟するパパンドレウ首相の姿は、野田首相に比べて何と正直なことだろう。
ともあれ、今のような日本政府の態度はファシズムを志向しているように感じられてならない。
2011.11.03:
最近気になるのが夜の激しいこむら返り。
以前から寝る前には薬を飲んでいたが、それでも夜明け前頃には筋肉がゆがんで激痛が走る。昨夜はそれを矯正しようと立ち上がったら、よろけてコケてしまい、腕を本棚の角にぶつけた。幸い軽い痛みだけだったが、ちょっとこれはおかしいと思うようになった。
それと同時並行で血糖値も上がっている。慎重に注射量を増やすようにしているが、それでも血糖値が顕著に下がる傾向は見られない。
今週末は通院なので詳しく調べてもらった方がいいようだ。
2011.11.02:
気が付いたら、神戸に転勤になってから1年を越えていた。やはり古巣の職場で昔の仕事に戻ったような感覚が、まるでベテランのように振舞える理由なのかもしれない。
ましてや前任者のように質問が来ても「調べてから・・・」などとは言わずに、ほぼ即決できるだけの経験があるから、周囲からは安心してもらえる。こういう信頼は非常に大切で、逆にそれを裏切るようなことはできない。だから意外と緊張感は強いのである。しかも私一人で年間総売り上げ数億円の仕事の一端を担っているから、失敗は許されない。
そういえば今日、油ポンプを発注しているメーカーから連絡があり、納期がベタ遅れになるという。聞いてみると、何と船積期限の4日前。それから輸出梱包をして貨物便の予約をしても間に合わない。しかもこれは信用状の契約だから遅れたら代金が回収できなくなる。さすがに私も青くなった。
メーカーには電話で「信用状なので遅れは許されない。元の納期は守ってもらうしかない」と強い口調で通告。営業マンは困ったような声だった。
祝日明けはこの話で振り回されそうである。
2011.11.01:
久しぶりに丸1日の晴れ。考えたら、ここしばらくは雨が降らなくても雲の多い日が続いた。
仕事の方は月末処理が終わって一段落。というのも10月納品の検収処理ができなかったら下請法に引っかかって大騒ぎになる。10月は最後まで3件ほどが残り、電話をかけ続けて書類を出させることになった。でも遂に1件は脱落、後で言い訳の書類を書くことになる。
法律と言えば仕事で直接関わるものがいくつかある。先に書いた下請法(正式名は「下請代金支払遅延等防止法」)、外為法(正式名は「外国為替及び外国貿易法」)と輸出貿易管理令、関税法、などである。
他に法律ではないが、国際規則であるインコタームズ(Incoterms)など、国際的な条約ではないが統一した解釈で動いている取り決めがある。というか、国際貿易の世界ではWTOやFTAなどのような関税に関する条約や協定のかたちで締結されたものは少ない。
鉱物資源とか農産物のようにその国の経済を左右するようなものでない限り、対等平等な自由貿易が基本だからである。
ただ、私が関わっている世界で言うと、イギリスが大航海時代に作ったルール(どちらというと自分達の身勝手が多い)を基本に、数百年を経てこなれてきたものが定着しているといえよう。
ただそれらも時代共に変遷していくものである。例えばインコタームズは2010年版でFOBの解釈が変わった。今までは荷物が船の舷側を通過した時点で荷物の所有権が変わることになっていたが、今回の改正で荷物が船倉内に置かれた時点に変わった。その昔旧ソ連で行われていたFOBstowedと称していたことと同じである。
冗談話で、舷側の手すりに荷物が落下して壊れたら荷主と本船のどちらの保険でカバーするかというクイズがあったが、これまでなら、岸壁に落ちたら荷主、船倉に落ちたら本船というのが正解だったが、今回はいずれも荷主となる。
ということで難しい話はこれでおしまい。