悪餓鬼日記帖:なにぃ、文句あっか!

12.10


2012.10.31:

今日は会社で久しぶりのPC電話サポート。
ひとつはジョブ番号登録・管理システムの操作に関するもの。
そもそもこのシステムは要件定義が極めてずさんに作られているのでユーザーの不満が多い。今回問題になったのは入力項目のデフォルト値。営業担当者の項目にはログインしたユーザーの名前が自動的に貼り付く。しかし営業マン以外には却って邪魔。というのも検索のときに営業マンでもない人間の名前が入っていたら絶対にヒットするデータは出ないからである。
私はいつも検索条件の「クリア」ボタンを押してから改めて検索条件を入れる(面倒臭いが、システム開発グループは直してくれない)が、マニュアルには書いていない不具合のことは一般ユーザーにはわかるはずもなく、「ジョブ番号を入れてもデータが出てこない」と私に相談したのである。
前述の「クリア」操作を教えたが、開発担当者にクレームをつけるしかなさそうだ。
次はファイルの拡張子に関するもの。
ある社員からメールが来たが、添付ファイルが開けない。よく見ると拡張子が抜けている。
本人に電話して事情を尋ねると、何でもかんでもファイルをデスクトップ(XPである)に貼り付けてそこから編集しているということだが、ファイルのコピーとか編集を繰り返しているうちに拡張子が抜けたようである。Excelのように感じられたので拡張子XLSを付けたら開けた。
問題の根源にはエクスプローラーの設定があることは明白である。
本人に、オプション設定で「拡張子は表示しない」のチェックを外させて表示されるようにしたが、素人ユーザーは拡張子の意味すら知らないことが多い。"7"は使ったことがないのでわからないが、Windowsの「小さな親切、大きなお世話」の典型をまたもや感じたのである。

2012.10.30:

石原都知事が突如辞任をして国政選挙に首を突っ込むという。知事を辞任してまで市長選に出馬した橋下と似た行動である。
それにしても感じるのは、政党助成金欲しさに他の政党を巻きむこと。維新の会が国会議員を利用したように、石原新党はたちあがれ日本を踏み台にした。
私が常々言っているように、政党助成金は2つの大きな問題がある。ひとつは支持していない政党にも政治資金が流れていくという、思想信条の自由に反する憲法違反の法律であること。もうひとつは自ら努力して国民から献金をもらう活動をしなくなることである。これは一種の「麻薬入り毒饅頭」である。残念ながら共産党以外はすべてこの「麻薬中毒」に汚染されている。それどころか「ヤク」欲しさに考え方が違う連中と組むという、病魔のとりこになってしまうのである。
橋下、石原両名はそういう足に地の付かない組織をスタートさせた。そこまでするには彼等なりの危機感があるように見える。それは毎週金曜日に行われる官邸前の集会に見られるような、草の根の運動によって今の世の中を変えようという動きを敵視し、右翼的再編によって上からの締め付けを強めようという意図に他ならない。

2012.10.29:

週末から休日にかけてバタバタしていたため、日記を書く意欲がなくなっていた。
そのまま日記は途切れ、HPも更新せず、やがて自然消滅・・・というのは今のところない。
仕事では東南アジア某国向けの輸出でトラブル続き、プライベートでは友人HPの更新作業が集中していた。
特に仕事の方は、船会社の回し者と思しき人間が「検査」と称して梱包の寸法を実際より大きく報告したり(船会社に支払う運賃を水増しする意図)、輸入側の通関官吏が提出不可能な技術資料を要求する(いやがらせ、あるいは要求を取り下げる交換条件としてのわいろの請求に見える)など、常軌を逸した行為のために振り回される事態が生じている。
技術資料の話は、通関業者を通じて提出を義務付ける根拠となっている法律・基準を示してくれと逆襲した。これでその話の正当性があるのかどうかがはっきりするだろう。根拠がなければ提出の必要はない、というか問題の官吏の暴言かどうかが明確になる。
私の性格として、物事の事実と道理をはっきりさせる正攻法で解決しようとするのが流儀である。

2012.10.25:

その昔、1980年代頃までは仕事が終わった図面をマイクロフィルムで保管するのが当たり前だった。まだ図面の焼き増しもトレーシングペーパーからアンモニア臭のするジアゾコピーが主流で、今のようなPPC紙はまだ高価だった。
パイプファイルやトレーシングペーパーでの保管は場所を取るし、ジアゾ紙は年とともに色あせて長期保管には不向きだったから、当時はマイクロフィルムが主流だったのである。
だがそのマイクロフィルムも数十年を経ると変色した。
しかしそのうちに各社が文書保管用のスキャナーを開発し始めた。当初は1台約500万円。しかも画像のフォーマットは各社バラバラで互換性はなく、結局パソコンの画像ファイルに押されて、専用機は消えた。というかコピー機にスキャナ機能が付き出したのである。
さらに革命が起こったのは90年代にアドビシステムズが開発したAdobe AcrobatのPDFフォーマットで、同時にAcrobat Reader(現在のAdobe Reader)を無償配布したことでPDFファイルが爆発的に普及したのである。
今は世界標準になり、しかも各種のソフトからこれも無料のPDF用プリンタドライバが出されるようになって、メールの添付としてPDFファイルが飛び交うことが当たり前になった。ということは古い時代に作られたものを除いてマイクロフィルムが廃れることになったのである。何しろ普通のファイルとして他の書類と混ぜてサーバーとかCDに保存できるからである。
このPDFファイル、ウチの会社では副産物としての効果が利用されるようになった。多分他社でも同じだと思うが、社外からCAD図面などを要求されても元のファイルは絶対に渡さず、必ずPDFファイルにして送るのである。他にも販売価格表をExcelで作っても計算式はばれないPDFファイルに変換すれば仕事の手間は省ける。
マイクロフィルムからPDFファイルへ、時代の流れをつくづく感じる。

2012.10.23:

昨日の話の続きだが、客先の担当者から遅れても罰金の対象にしないとの回答があった。
ということでめでたしめでたし、と言いたいところだが、今度は思わぬ伏兵が出てきた。
ある高圧ガスボンベのメーカーが危険物の輸出許可に必要な書類の提出を拒否するという事態になったのである。
危険物の種類にもよるが、「安全データシート(MSDS)」以外にガスの成分とか性質を示す書類を出して、当局の許可がないとコンテナに詰めない規制が存在するのである。
ところがこのメーカーは理由を明らかにしないまま資料の提出を拒否した。しかしそれがないと輸出できないので押し問答のままである。このままでは先に進めないので、一計を案じて船便ではなくて航空便で送ることにした。奇妙なことにこの規制は港にだけ適用されるが、空港では不要なのである。ということで、金はかかるが急遽航空貨物の手配をした。
しかし今後のことを考えると、この種のガスボンベを運ぶたびに高い運賃を支払うこともいかず、今後もメーカーと交渉を続ける。話を聞くと、このメーカーは輸出の経験がまったくなく、それ故に拒否反応を起こしているに過ぎないようである。

2012.10.22:

今朝出勤したら、週明け早々トラブルの連発。
内容は貿易の専門的な話が絡むので説明は割愛するが、注文書の記述と実際に送る品物の実態が合わない、加えて納入すべき品物の一部の納期が間に合わず、もし本当に遅れたら代金が回収できないばかりか、罰金を一日当たり百万円払わされることが判明したのである。
ただ、客先の実情として納期が遅れても建設工事が開始していないので実害は出ないのだが、売主・買主がサインした契約書の紙の上では納期に間に合わないと上記の問題が生じる。
何とかウチの営業が協力してくれて、遅れても罰金が課せられないよう交渉することになったが、もし拒否されたら・・・というリスクはまだ残っている。
こんな調子だから、私の精神的ストレスはかなりきつくなっている。

2012.10.21:

阪神大震災以降、商店街の回復はままならない。人が戻ってこないこともあるが、「失われた20年」の影響が色濃く反映している。
自宅すぐ北側には小さなアーケードがあったが、今は数軒を残してほぼ全滅。辛うじて持っているのは六甲道駅北側の「宮前商店街」くらいのものである。
阪急王子公園の東に続く「水道筋商店街」も空き家が目立つ。駅前に大型スーパーとかテナントビルが建つと、近くの商店街が大打撃を受けるが、今はその大型店すらも姿を消しつつある。
その典型はハーバーランド。阪急百貨店さえもが店を閉めた。元の遊園地は来年、アンパンマンの施設ができるようだが、これが起死回生となるかどうか、不景気の中だから簡単ではないように思える。
また、新長田の大丸が閉鎖した後に西友が入るようだが、これもどうなるかはわからない。
東日本大震災の津波でやられた地域はこれからどうなるだろう。阪神よりも条件が悪いだけに心配である。ここに消費税とか、TPPとか「XX特区」などという地元を無視した政策が持ち込まれたら、もはや回復は不可能になるほどの打撃を受けるだろう。そんなみじめな姿は見たくない。復興をしっかりと支えるてこ入れができるようにしたいものだ。

2012.10.20:

今日の夕食は何ヶ月ぶりかの息子との外食。
どうしたわけか、最近は夕食のメニューを考えるのが億劫になり、当日のものさえ決まらないままやっと会社帰りの電車の中で思いつくということもある。
自分で料理を作るようになってから7年近くになるが、これほど倦怠感が来るのは初めて。メニューがマンネリ化していることもあるのだろうか。
かといって出来合いの惣菜を買って帰ることを毎日続けるわけにも行かない。そんなことをしたら家計がパンクする。またどうしても店で売っているのは揚げ物が多いのでカロリーオーバーが心配。
さらに外食ではもっと金がかかるし、しかも息子は人ごみに出ることを嫌う。これは緊張で腹が痛くなる傾向が影響しているようだ。
ここらで気分を変える必要があるのだろうが、どうきっかけを掴むか、手探りの日々が続く。

2012.10.19:

一昨日書いた、福島事故をネタに下川島選手を揶揄する発言だが、発言した当の本人は非を認めていない。
「表現の自由」をたてに居直っているようだが、相手を侮辱し傷つける「自由」はない。そういう態度を続ける限り、いずれ彼に仕事は来なくなるだろう。そのことは覚悟の上なのかもしれないが。
こういう態度を見ていると、私はフランス人独特の責任逃れに極端に固執する姿とダブる。フランス人と仕事をしているとわかるが、自らのミスは認めないばかりかそれは私の責任範囲ではないと逃げることがしょっちゅうある。
私は今もある出来事を思い出す。
その昔、パリのオルリー空港からエールフランス機に乗って出発する際、機体の故障で出発が遅れるとのアナウンスがあった。その際、最後に付け加えた言葉には唖然としたのである。
Ce n'et pas Responsabilité d'AirFrance.(これはエールフランスの責任ではありません)
まだどれくらい遅れるのかもわからない、原因も明確ではない最初の時点で、機先を制するようにこういう言葉を口にする発想にはただ呆れるしかなかった。
いちばん良く乗ったルフトハンザを始め、後にも先にもこのような発言をする乗務員にお目にかかったことはない。

2012.10.18:

沖縄ではオスプレイの強行配備に対する抗議運動が強まっているが、今度は米兵による女性強姦事件が発生した。
普天間基地移転問題に限らず、県民の声を徹底して無視してきた日米両政府の姿勢が生み出したその帰結と言えよう。
これまでも数々の米兵による犯罪があっても、米軍が救いの手を伸べることはさも当然のようにやられてきた。だから進駐軍気取りの雰囲気は米軍の上から下まで浸透してきているのである。
それに対して沖縄県民は常に煮え湯を飲まされてきたが、それももう限界に来た。そのきっかけは基地移転問題であり、基地縮小を公約した民主党の裏切りである。それが故に前回の衆院選で民主党は候補者を立てることができなかった。
それに加えてオスプレイの配備、米兵の犯罪では万事休すである。米兵暴行事件の知らせを受けた仲井真知事は顔色が変わったという。
こうなっては日米両政府によるしかるべき対応がない限り話は収まらない。基地の全面撤廃、安保廃棄の声が高まることになろう。よしんば安保の問題に発展しなくても、日本の憲法・法律よりも米軍の身勝手が優先する地位協定の根本的見直しはもはや避けられない。
沖縄県民の意思を尊重した解決は当然であり、それ以外の日本国民全体も思いを共有すべきだろう。

2012.10.17:

サッカー日本代表のGK川島を揶揄したフランス国営TVの問題は内外に波紋を呼んでいる。
それにしても川島の腕を4本にした合成映像を使って「フクシマの影響か」というのはあまりにひどい。日本政府を含めた抗議の嵐は当然の帰結である。川島選手は昨年いたベルギーチームの試合でも、相手チーム応援団から「フクシマ」を連呼されて審判に抗議した経緯がある。このときは相手チームに罰金が課せられた。
とりあえずはTV局が謝罪文を日本側に渡しているが、この問題は福島原発事故で被害を受けた人達のみならず、世界中の心ある人達を悲しませるものである。他人の深刻な不幸を笑いのネタにする行為は、いかなる方法であっても許されるべきではない。
問題となったTV番組のキャスターは原発廃止論者というが、偽者の臭いがする。原発大国フランスでもし苛酷事故が起こって放射能が漏れたら・・・ということを彼は真剣に考えたことがあるだろうか。チェルノブイリ、フクシマで起こったことを真面目に考えるならば、事前に脚本にクレームをつけることができたはずである。

2012.10.16:

尖閣諸島問題とはまったく関係ないが、最近中国の企業とメールをやり取りしていて困っていること。
それはメールのタイトルなどに中国語が点在していること。そして極めつけは添付ファイル名に平然と中国語が使われていることである。
本文などではアプリでフォントの処理などをしてくれるが、ファイル名のようなWindowsの根幹に関わることはさすがに処理しきれない。遂には今日、添付ファイルにアクセスできない現象が発生した。もはや我慢ならないので、相手に「ファイル名に中国語を使うのはやめろ」と抗議した。
中国で英語や日本語が使えるのは、ほとんどが金持ちで高等教育を受けた人間だと思うのだが、PCの知識は低いようだ。
話は変わって踏み台にしたPCを使っての脅迫書き込みなどを行った事件、犯人は調子に乗って犯行声明と思われるメールをマスコミなどにばらまいたようだ。これを見ていると犯人は頭が悪いとしか思えない。
TVのサスペンスドラマを見ていてもわかるように、犯行を重ねるごとに色々と証拠を残していく。しかもどこかで共通点が見えてくるはずだから、警察はそれを徹底して解析するだろう。もし海外のプロキシサーバーを経由することでIPアドレスを偽装できたとしても、アプリやデータが持つプロパティーの部分から何かが見えてきても不思議はない。
さすがに犯人は犯罪学には詳しくないだろうから、その手の専門家集団である警察の方が優位に立つ。
犯人割り出しは意外と早いかも知れない。

2012.10.15:

橋下「維新の会」の支持率が低下している。そろそろメッキが剥がれてきたというところだろうか。
特に政策が一致したわけでもない他党の離党者を集めて何とか政党助成金をもらおうと試みたが、結局は寄り合い所帯で綱領もないままの組織では先が見えている。有権者はそれを見抜いたようだ。
維新の会を見ていて思うのは、政党の組織として当然あるべき基礎的な活動組織がない、作ろうという意思ががないこと。
選挙でしっかりした票を確保しようというのなら、その政党を支える国民レベルでの組織、行動部隊がなくては戦えない。
今の政党の中では、自民党は基礎組織を持つが多くは農協とか地方ボスによる締め付けで票固め(もっとも最近はその力が弱まった)、民主党は自民の支持基盤の掘り崩しと労働組合が主体となっている。
そうした中で基礎組織の強いのが共産党と公明党(実働部隊は実質的に創価学会)である。
だが維新の会はそうした組織もなければ作る気もないというのが実態。専らマスコミを利用した集票と、公募で候補者を集めること、そして先のような他党の離脱者を集めるだけ。これでは根も浅いために、先月の「討論会」では候補者の意思統一も図れず、単なるおしゃべりに終わった。有権者はその底の浅さを見てしまったのである。
そして決定的なことは、維新の会には目新しい政策もなく、ひたすら復古的な論調と強権政治が明らかになったことである。

2012.10.14:

先月22日にCMの多さの問題を書いたが、専門的な言葉を使うと「相対的過剰生産」ということになる。つまり資本主義というのは本質的に生産量の伸びに対して需要が追いつかないという性質があるということである。
私のような素人が指摘するまでもなく、戦前の経済学者ケインズがこの問題について政府の経済政策により、特に公共事業を活用することによって緩和できることを説いた。
第一次大戦後の世界恐慌に対して、アメリカではケインズの提言を取り入れてテネシー川開発計画(TVA)で一定程度の成果と収めたが、ヒットラードイツや日本は領土拡張の戦争政策で乗り切ろうとした。これがやがて第2次大戦の火種になっていくのである。
ただ、ケインズが公共事業の重要性を強調したことについて、日本では「ハコ物」に集中して銀行・大企業の利益を優先し、いびつな経済構造にしてしまったが、ケインズはそのようなやりかたを忌み嫌ったようである。彼は、究極の公共事業として「穴を掘ってそこに紙幣を埋め、再び掘り返す」ということを皮肉っぽく語っている。
ケインズは経済政策で雇用や需要が浮揚することを目指したのであり、企業だけが一人勝ちすることを想定していなかった。ましてや公共事業となる財源を消費税増税でまかなうという本末転倒の発想はなかったように思う。
ただケインズは、現在のようなヘッジファンドなどが行っている巨大なマネーゲームが途方もない過剰生産を生み出すことを予想していなかったようだ。
もちろのその責をケインズ一人に負わせるわけにはいかないが、過剰生産の本質を根本的に解決できる方策はまだ見つかっていない。というか個々の企業が好き勝手に競争して、結果として過剰生産に陥る資本主義のシステムを根本的に変えるしかないのではと考える。言っておくが少なくともそれは国家的なカルテルを作れということではない。

2012.10.13:

EUがノーベル平和賞を受賞したが、世界的に全面賛意を得ているとはやや言い難いようだ。「ヨーロッパの平和に貢献」というのが受賞理由だが、ややこじつけっぽい気が私もする。
EUの根底には過去の「欧州経済共同体(EEC)」があるが、どちらかというと平和条約というよりも経済的な統一に重点が置かれている気がする。よってこれが直接的に平和に貢献したとは思えない。
ただ、ヨーロッパの歴史として古代ローマ帝国の時代から2000年以上にわたって侵略と戦争を続けてきただけに、EUのように経済的な調整を行い統一をはかる組織を作ったことで、各国間の争いを未然に防いでいるという効果はあるだろう。
特に20世紀入ってから2度も大戦を経験し、その後も東西陣営の冷戦を続け、ベルリンの壁の崩壊、ソ連の崩壊でやっとヨーロッパに戦火の種が消えたが、それと平行してEUが形成されていったことは記憶に新しい。
戦争の原因として、経済の覇権争いから領土の争い、そして戦争による解決ということが幾度も繰り返されたことは疑いない。ユーゴの内戦はその典型である。チトー大統領の下で隠されていた経済の地域格差が民族間の争いに発展した。
その意味で経済的な調整が戦争の防止に一定の役割を果たすのだが、もちろんそれだけで戦争は全く起こらないという保証はない。
ただ、明治維新後の日本のように、西郷隆盛の征韓論以来政府と財閥が結びついて、即戦争に持っていった歴史とは違い、自らの領土が戦場となってきたヨーロッパでは、あまりの犠牲の多さに戦争はもうコリゴリという実感が、人々の中に根付いてきたということなのだろう。

2012.10.12:

ふと気付いたのだが、最近は社内外を通じて新入社員とのコンタクトが多くなった。まるで私が教育係をしている感じである。
社内では設計で女子が一人、調達では新入社員ではないものの異動で若い新米が一人、営業の男子が一人、本社管理に一人。社外では大手商社で男女一人づつ。
この中であまり出来の良くないのは本社の男。私の説明に対して飲み込みが悪く、同じことを何度も聞くのである。
それはともかく、総じて感じることは教育不足。そもそも入社して半年くらいの新入社員をいきなりベテラン並みに一人で仕事を担当させていることは大いに問題。
はっきり言って、これは教育費用をケチろうとする会社の方針が間違っている。私のような入社40年の「猛者」と対等に「差し」で対決できるわけがない。知識も経験年数も違うのだから勝負にならない。リトルリーグ対プロ野球である。
何も新入社員をこき下ろしてるのではない。そういうやり方を批判しているだけである。私が新入社員の頃は、2ヶ月くらいは集合で社員としての基礎的なことを教え、その後配属先での基礎的な教育、半年くらいで教育担当のアシスタントをやってから、1年後でやっと簡単な仕事を一人でやらせるくらいだった。
私のやっている仕事の場合、貿易実務と英語がしっかり身についていないとやれない仕事だが、最初に書いた新入社員はいずれも一人ではできないレベルである。先輩に指導を仰ぐ癖をつけていれば次第に身に付くものだが、いずれの場合も「お前が一人で考えてやれ」と突き放すから結果は悲惨になる。
当初私はそのような彼等の悲惨な環境がわからなかったためにシビアに問題点を指摘することが多かった。だが最近は「教育的指導」を心がけている。
例えば、先日海外へのメールで「通関」を"pass custom"と書いていたものを私へのコピーで見つけた。本人に聞くと「辞書で捜した」という。正しくは"custom clearance"である。
辞書は万能ではないことを説明しておいたが、こんなことは職場の教育係が事前にチェックする習慣をつけておけば防げる問題である。

2012.10.11:

昨日阪急電車のことを書いたが、派生して阪急京都線にまつわる別のエピソード。
新幹線の線路の上を阪急電車が走っていた頃、京都線の架線の電圧は1500Vだったが、神戸線や宝塚線は750Vだった(いずれも直流)。その後阪急全線が1500Vに統一されたが、それまでは京都線の電車は十三から梅田までは750Vだったためにノロノロ走った。
このような複数の電圧が存在することになった理由はこうである。
阪急京都線は元々戦前に作られたが、創業当時は「新京阪電鉄」であった。名前の通り現在の京阪電鉄の子会社だったのである。その後経営難から京阪電鉄に吸収され、「新京阪線」と称された。さらに終戦直前には阪急電鉄に譲渡され、現在に至った。
この経緯から私の子供の頃のお年寄は、阪急京都線を「新京阪」と呼ぶ人が多かったのである。
戦前創業の私鉄は直流750Vからスタートしたものが多いが、今の大都市の私鉄はほとんど1500Vである。昔は絶縁物の技術が未熟で、1500Vには対応が困難だった。昔のモーターを分解するとわかるが、紙や布に絶縁ワニスを染み込ませたものが多かった。今はポリカーボネートなどの高分子化合物が主流である。これだと薄いし軽い。
では何故電圧が高い方が有利か、この理由は簡単である。電圧が高いほど送電線による損失が小さいからである。
物理学の基本公式で送電線の損失(ほとんどは熱として空中に逃げる)は電流2×線路抵抗となるが、同じモーター出力ならば電圧が2倍になれば電流は半分となるので、損失も自乗に反比例して小さくなるのである。
同じ原理は一般の送配電も同じで、発電所から消費地の変電所までは数万ボルト、変電所から市街地に張り巡らされた電柱までは6600Vあるいは3300V、そして電柱にある変圧器から各家庭までは200Vあるいは100Vに下げるのである。
家庭に数千Vで引き込まないのは、危険だし絶縁レベルが高くなって電気器具が大きくなってしまうからである。家庭のコンセントや電気炊飯器に馬鹿でかい碍子が付いてたら使う気にならなくなるだろう。

2012.10.10:

10月10日というと昔の「体育の日」すなわち東京オリンピックを思い出してしまう。
今の「ハッピーマンデー」方式は連休を意識して採用されているが、私のように家族旅行とは縁のない人間には3連休のメリットはない。どこの行楽地も、その往復の交通機関も満員になるので出かける気にはなれないのである。
むしろ週の途中の休みの方が息抜きがしやすい。
話は戻るが、東京オリンピックといえば思い出すのが直前に開通した東海道新幹線。
建設中や開通前の試運転の頃から小学校の教室の窓から新幹線の車両が見えていたことをはっきり覚えている。駅に近いのでフルスピードで走ることはない。
さて、新幹線についての知る人ぞ知るささいなエピソードを紹介しよう。タイトルは「新幹線の線路を走った私鉄電車」。
新幹線の高架線路を建設中、一部の区間で阪急電車の線路がが平行していた。それで新幹線の建設とともに阪急電車も高架化を計画、同じ頃に建設が始まった。
そこで阪急電車が旧国鉄に申し入れて、高架ができるまでの間、大山崎駅−上牧駅間の新幹線の線路の借用が認められたのである。レールの幅は阪急と新幹線はまったく同じ。
私の親戚がちょうどこの区間に住んでいて、何度か新幹線の上を走る阪急電車に乗った。
後にも先にも、二度とこのようなケースは起こらないだろう。

2012.10.09:

3連休が終わって出勤したらメールがどっさり。しかも中国は国慶節休暇が明けたのと重なっててんやわんや。
そんな中、東南アジア某国から4人もの人間が訪日したいとの話。別に大型機械の試験があるわけでもなく、たかだか数百万円の交換用歯車セットの検査のみに、4人も来て何をするというのか。明らかに適当な理由を付けての観光旅行である。
勿論旅費など基本的な費用はあちら持ち。そうは言っても夕食くらいは奢らないといけないだろう。
まあどちらにしろ「御一行様」の「添乗員」は営業がやるが、営業マンにとってはあまり乗り気にならない話。接待で飲んでも酔えない話である。
そういう私もひと頃調達の仕事をしたことがあるが、メーカーの接待を受けたときはまずもって酔うことはなかった。相手の気遣いが読めるだけに、ハメを外して醜態を演じるなどというのは私のプライドが許さなかった。

2012.10.08:

夕方に臨時ニュースが流れた。京大の山中教授がノーベル賞を受賞した。
もち受賞理由はiPS細胞を人工的に作ることに成功したこと。今後の倫理的問題をどうするが未解決ではあるものの、科学的成果としては受賞に値するものである。
日本人の独創性の弱さがよく言われるがそんなことはない。故湯川博士の中間子理論をはじめ、色々な先進的研究については世界的にも遜色はない。ただ、裾野のレベルが少々お寒いことは否めないという弱点はある。これは教育にかける予算や補助金の貧弱さから来ているもので、日本人全体のレベルが低いわけではない。
iPS細胞についてはまた、議論すべき問題が横たわっている。それは特許の問題である。
既に4つの特許が京大に認められているが、大学のような非営利団体が特許権を持つことが許されていいのかという基本的疑問である。私自身としては明確な回答を引き出すには至っていない。というのも大学が特許を握ってそれを元に何らかの使用料を取るのかどうかも明確ではないからである。
そもそも特許というのは企業が技術を独占して、同じ製品を他社に作らせない、あるいは使用料を取って儲けることを許す仕組みである。だから特許権は企業競争が生み出した争いごとに対する一種の紛争の裁定方法である。
こういうところに研究教育機関が首を突っ込むのは初めてだけに、論争を呼ぶのである。ただ、一方で特許によって科学的な研究ができなくなるのも問題だから、それらをどう解決するのかが問題になるのである。

2012.10.07:

3連休だが別に行くところもない。洗濯や買物など、家事に明け暮れて1日が終わるだけである。
そんな中、久しぶりに近所のPCショップに行ってみた。「ソフマップ」のような大規模店舗ではないから客は多くない。というか大阪日本橋のような伝統のある電気屋街でもなく、ショッピングセンターの一角にあるだけだから、マニア以外はその存在も知られていないはずである。
しかし店そのものは10周年。考えたら神戸のような大都市だとマニアの絶対数は少なくないから採算は取れるのだろう。
店に入って感じるのは"WINDOWS 8"を安値でグレードアップできる権利を強調していること。一昨日書いたように"8"の運命はまだ不明である。しかしそのことを示しているのは"7"そのものが伸び悩んでいることである。
PC業界は激しい競争で、CPUなどの能力向上が続いていても価格が下がらない。PC本体は20年前と変わらない価格で売られている。逆に言うと、他社との競争に負けまいと価格を維持したままスペックアップの開発競争を強いられているということである。
私自身は不要不急の買物はしなかったが、PC業界、それと家電業界の熾烈な競争を垣間見た気がする。

2012.10.06:

博多人形で子供が饅頭を2つに割っている姿をしたものがある。これは「お父さんとお母さんとどっちが好き?」と問われたので、饅頭を2つに割って「どっちがおいしい?」と聞き返す逸話を表現したものである。
若い頃、私が海外の建設現場にいたとき、やはり韓国から来ていた人間が私に聞いたことがある。「何故体を締め付けるような着物を日本人は着るのか?」と聞くので、「では何故韓国の女性たちはチマチョゴリを着るのか?」と聞き返した。その国の伝統には固有の歴史があり、是非は付けられないからである。
こういうちょっとしたウィットのきく会話は即座に思いつかない。ましてや外国人との会話では緊張があるからなおさら。
それでも私が唯一記憶があるのは以下の会話。
ドイツ滞在中のこと、ある会議でドイツ人の男と私が互いの事務所から離れた場所に集合した。週末だったので彼は奥さんと飼い犬を連れて車で来ていた。
昼休みになり、外で食事をしようということになって、私は彼の車に同乗することになったが、中でおとなしくしていた犬が私の顔を見て突然吠え出した。すると彼は、
Please don't be afraid.(怖がらないでね)
と言うので、私はすかさず答えた。
No, he is afraid of me.(違うよ、あいつが俺を怖がってるんだ)
見知らぬ顔を見た犬が突然恐怖を感じても不思議はない。そのことを知っている私には瞬時にして事情が理解できたので、そういう発言になったのである。
恐縮した彼は、「そう言ってもらえるとありがたい。女性の多くは逆に怖がって、キャー!犬がいるわ!となって更に犬が興奮するんで困る」と言っていた。

2012.10.05:

職場では今年度のPC更改作業が続いている。一応IT部門からは旧PCからの移行用マニュアルが配布されているが、PCに疎い人にとっては苦難の連続。よって職場のサポーターが助けに入る。但し私はサポーターを卒業済み。
去年くらいから会社の標準Windowsは"7"になった。XPのサポート期限が近づいているからである。そういう私の会社PCはXPで、更改インターバルは2014年度だが、XPの期限切れが来る前の来年度には変わるだろう。ウチの事業部は社内でもIT先進部隊だから、以前いた工場のように「陸蒸気システム」を14年も使い続けるほどドケチではない。「腐ってもタイ」、ITの設備投資は経営数値が苦しくても確保するのである。
そういえばふと気付いたことだが、自宅PCはどうしよう?
息子PCを含めてすべてXPだから来年末までにはすべて"7"に変える必要がある。しかし悩ましいのは"8"がどうなるかである。Vistaのような情けない運命と心中する気はない。よって単純に"8"に飛びつく気にはなれない。
ということは、来年に入ってから「人柱」の報告を見てから判断することになるだろう。

2012.10.04:

私くらいの年齢になると「さすがベテラン」と言われるような知識と経験の積み重ねがあるのが普通。いつまでも新入社員レベルでは恥。
だが、以前にも書いたことがある、「今まで船積書類なんか自分で書いたことはない」と言ってのけた私と歳の変わらぬ営業マンのH、今度は最近受注した仕事で立て続けにベテランとは思えないことをやりだした。
その1:ジョブ番号の登録システムの入力ででたらめなデータを入れた。
受注の種類で「部品供給」とすべきところを「機器1式」。消費税免税の輸出であるが商社経由なので「間接輸出」とすべきところを「直接輸出」。本当は客からの注文書を添付しないと社内に製作開始指示はできないのだが、添付なし。いずれ管理部門からクレームが出るだろう。
その2:商社からの注文書はCIFなのだがこれをいきなりCFR(輸送保険を除外)にせよと言い出した。商社の突然の心変わりが原因だが、だったら発注前に意思表示すべきとクレームしてもいいところを、唯々諾々とこちらに振ってくる厚かましさ。受注後では後の事務処理が面倒になることなどは頭にない。
その3:一部の部品の納期が早くできるできることを知ったら、途端に早くなる分を分割して船積せよと言い出した。
商社の注文書にはもちろん納期を分けろとは書いてない。だから客に奉仕したいというHのスタンドプレー以外の何物でもない。
しかし現実はそう甘くない。部品供給なので品物は小さく、すると運賃をはじめ梱包費用、船積経費などがすべてミニマム料金を適用される。ということは、船積を分割すると1回分で済む必要経費が2倍になるのである。ベテランであるべきHはそれが全く見えていない。

このような事実を総括すると、Hには知識や経験の蓄積がまったくなく、ひたすら客に対しておべっかだけを使うことだけに長けていることしかないことが伺える。それは私が関係する人達も感じている。自らは何ら汗を流すことなく、部下を含めた社内に対してひたすら「あれをやれ、これもやれ」と命令することしかやってこなかったのである。
以前人づてに聞いた話だが、優秀な人材を引き抜くことを仕事にしている「ヘッドハンター」に言わせると、大企業の管理職は敬遠するそうである。他人を顎でこき使い、「根回し」ばかりやってきた人間は、自分で考え行動することができないからである。

2012.10.03:

最近ウチの会社では労災事故が増えていて、今年も既に下請を含めて3名が死亡している。
原因はそれぞれパターンが異なるが、事故の報告書を読んでいると本人の不注意をことさら取り上げることが多い。明らかに会社の責任を小さく見せ、労基署から注意を受けたり翌年の労災保険料のアップを食い止めようとしているのが見える。
同時に最近目立つのは「作業マニュアルの不備」。作業手順をマニュアル化してそれを逸脱した者は注意を受けるというもの。だが現場で働いている人達はマニュアルを見ながら仕事をするわけではない。危険かどうかは体で覚えるもの、すなわちその行為が招く結果をそれまでの経験からとっさに判断できる力を養っていくのである。
さて、労災事故と平行して増えているのが精神疾患。
2年ほど前、私も顔見知りの若者が自殺した。次は彼の直接の上司が出社拒否になり、会社に出てこなくなった。先輩からも「部下の面倒見が悪いからだ」との指摘を受けたり、一向に減らないストレスが原因と見られる。そして極めつけはその上司の同僚が単身赴任用社宅から飛び降り自殺を図り、一命は取り留めたものの重傷で入院したのである。
元々その職場には歴代の部長が専制支配する体制だったから、自由に物が言えない環境だった。
実は私も若い頃にその職場にいたことがあり、部長と衝突して、以来冷や飯を食わされるきっかけとなったいわくつきの場所なのである。

2012.10.02:

時々、子供に対する虐待で死なせてしまうニュースが流れるが、今日も広島県で暴力による虐待死があった。
子供に対して愛情を抱けないという理由には色々あるだろうが、結果として死なせてしまうことについてはやはり考えざるを得ない。
現在「子供110番」のような組織が作られて、虐待に対する第三者からの通報や虐待されている子供からの相談を受付ける窓口もできているが、それでも虐待が減っているという話を聞いたことがない。
親自身も不景気などで経済的に追い込まれることもあるのだろうが、相談する相手もなく、出口が見えなくてその不満のはけ口を子供に当り散らすことで解決しようとするのは無理がある。
私自身も、子連れ離婚を決意した一因に元ヨメの子供に対する肉体的・精神的暴力があった。
その生々しい事実を公表するわけにはいかないが、特徴的だったのは息子の人格を否定するような言動がしばしば見られたことである。そのことを彼女に指摘したとき、返ってきたのは「少々厳しく躾けても構わない」という言葉だった。明らかに「きびしさ」と虐待を混同している。もちろん反省はなかった。
私自身もまったくそのような暴力を息子に与えなかったとは言えない。しかし実際に手を挙げたのは小学生の時の1回きりだった。息子もそのことを今でも記憶している。原因は冗談半分だったが、マンガの真似で「7年殺し」という指を尻に突っ込む行為をしたのが原因だった。
冗談であってもやっていいことといけないことの区別をすべきであるという瞬時の判断だった。
親は子供に対して聖人君子であるべきなどという理想論に走るつもりはないが、子供を死に至らしめるようなことを防ぐには、子育てを個々の家庭の努力だけに求めるのではなく、社会全体としての取り組みが必要不可欠である。

2012.10.01:

台風一過、予想通り冷たい風を呼び込んで秋らしくなってきた。
今日からあれこれ値上がりの材料を認める法律が施行され、先行きの芳しくない話が次々出てきている。経済指標も雇用もこれまた悪い材料しかない。
内閣改造もこれまたしかり。そして極めつけは県民をあざ笑うかのようなオスプレイの沖縄配備。アメリカには何一つ物を言えない、言わない政府などというのは、世界のどこを見渡しても日本以外にない、恥ずべき存在である。
やはり安保条約が持つ致命的な欠陥によることは明らかである。よって第10条に基づく廃棄に持っていくしかない。
言っておくが日米間の不平等条約を解消するという、ただそれだけのことであって、アメリカと事を構えようという意図は全くない。これまで培われてきた経済的、文化的結びつきまで断つことができるわけでもなく、むしろ対等平等の関係がさらに発展するだろう。